FILE NO 579 宮崎と周辺の植物
ギョクシンカ Terenna gracilipes (Hayata) Ohwi
玉心花 アカネ科
撮影日 2007.6.21
撮影場所 日南市

 宮崎県の北部海岸、佐賀県の一部の島、長崎県の一部を北限として、海岸林内で見られる常緑低木で琉球、台湾まで分布しているという。
 分布域が限られている上に、自生する場所も人が通る道筋等ではないので、あまり知られてなく解説した本も少ない。
 ギョクシンカは漢字では玉心花と当てていかにも沖縄の森に相応しい気がするが、その根拠は牧野図鑑の解説からきていると思われる。
 牧野図鑑では同じアカネ科のコンロンカ(崑崙花)の漢名に、疑問符ながら玉葉金花を当てており、牧野博士にはもしかしたらこの花との関係に多少の思いがこもっていたのかも知れない。   
画像1 海そばの照葉樹林の低木層、この木は高さ1.3mほどだが普通せいぜい2mぐらい、梅雨時の林内では特に白い花が目立つ。 花に近寄ると、きつすぎる匂いを適度に薄めたジャスミンといった香りがする。
画像2 藪の中に白く浮かび上がる花は、図鑑では6〜7月の花となっているが、
   時期に関わらず枝全体にきちんと花をつけた株も結構見受けられる。
撮影:(2005.11.20 日南市  )
画像3 花は枝先に集散花序につき、薄暗い
林内で淡緑色の葉に対比してよく目立つ。
撮影:(2007.6.21 日南市)
画像4 真っ白い花冠は5裂、裂片は広線形で、
長さは1cm強、裂片によく似た長い花柱が特徴。
撮影:(2007.6.21 日南市)
画像5 花筒上部につく長さ1cm強のオシベは、裂片の間に見えるが、基部2ミリほどの白い花糸の先に長い葯がある。  
撮影:(2007.6.21日南市)
画像6 ひも状に見える黒っぽい葯は、伸びると、
すぐに花柱を避けるように下降して、花筒周辺で自在に曲がる。 撮影:(2007.6.21日南市)
画像7 花柱は花冠裂片とほぼ同じ長さで直立して先は2裂、短毛がある。花筒部は2〜3ミリ。
撮影:(2005.11.20 日南市)
画像8 花筒部を一部取り去ると、内面上部の
軟毛が見える。緑色のガクは長さ3ミリ弱で先は
5裂する。 撮影:(2007.6.21 日南市)
画像9 対生する葉は両端が細く尖った長楕円形で長させいぜい16cmほど、表面は無毛。
撮影:(2005.11.20 日南市)
画像10 柔らかい葉の下面は日影特有の鈍い緑色で、浮き出る脈は7〜8個、縁に鋸歯はなく やや波打つ。撮影:(2005.11.20 )日南市 
画像11 葉の下面基部、葉柄とその延長上にはごく短い伏毛がある。  
撮影:(2005.11.20 日南市)
画像12 若枝や花柄、托葉には伏毛があり、
托葉は2枚で先の尖った三角状。
撮影:(2005.11.20 日南市)
画像13 果実は緑色のまま年を越し、寒い冬になってやっと黒く熟す。  
撮影:(2004.11.21 日南市)
画像14 果実は液果でややいびつな球形、
先端にガクの後が残る。  
撮影:(2005.12.24 日南市)
画像15 黒熟した果実、指でつまんでもまだ堅い。  撮影:(2006.12.12 日南市) 画像16 年を越した4月、まだ落ちずに残っている果実。 撮影:(2007.4.8 日南市)
画像17 若い木の樹幹、柔らかくきれいな樹皮は明るい淡褐色。  
撮影:(2007.6.21 日南市)
画像 18 やや大きくなった木の樹幹、樹皮には緑色が入り、ややごつごつしている。
撮影:(2007.6.21 日南市)
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