FILE NO 586 宮崎と周辺の植物
アカネ  Rubia akane Nakai
アカネ科
撮影日 2007.11.11
撮影場所 川南町

 万葉集の雑歌「 あかねさす紫野行き標野行き野守りは見ずや君が袖振る」は額田の王の作といわれ、読む人の気持ちでイメージの広がるいい歌には違いない。
 この場合のあかねは単に紫や日等にかかる枕詞で、色や時間には関係ないそうだ。
 万葉集中に13首あるあかねの歌は全てが植物のアカネに直接は無関係らしいが、枕詞になったのは赤い根の色(茜)の印象からと思われる。
 本州以西にあるが宮崎も道脇で普通に茂っている。
画像1 道端で茎の節から広い葉が4枚出て、小規模に広がる多年生のつる草だが、2〜3世紀の頃染物用に中国から移植されたと書いた本もある。茜染めの染料ともなる成分プルプリンは出血等にも効能があり、生薬名で茜草として利用されているという。 万葉の昔からあかねと呼ばれ、中国名も茜草と書く。
中国雑草原色図鑑に「分布」は我国大部分地区とある。
画像2 アカネ科は世界の熱帯から亜寒帯に500属7000種、日本にはその内の
      25属81種あるといわれるが、代表アカネは花も果実も殆んど目立たない。
   撮影:(2007.10.13  高千穂町)
画像3 葉腋から伸びた集散花序に直径4ミリほどの薄い黄緑色の花を開く。
撮影:(2007.10.13 高千穂町)
画像4 花冠は5裂して広がり、オシベは5個、短いメシベの花柱は2裂して2個あるように見える。
撮影:(2007.10.13 高千穂町)
画像5 葉は4枚輪生に見えるが、2枚は葉のようになった托葉。 撮影:(2007.10.13 高千穂町) 画像6 葉は長さ5〜6cm、基部はハート型で脈が左右に2本。 撮影:(2007.10.13 高千穂町)
画像7 葉の下面脈上にも下向きの刺がある。撮影:(2007.10.13  高千穂町) 画像8 葉の長さの半分以上ある葉柄にも下向きの刺がある。 撮影:(2007.10.13 高千穂町)
画像9 茎は4角形で角の稜はやはり下向きの刺があり、周囲の草などにひっかかる。
撮影:(2007.10.13 高千穂町)
画像10 花後まだ花盤の残る子房、膨らんで成長し球形の果実になる。
撮影:(2007.10.13 高千穂町)
画像11 果実は横幅6ミリ縦 4ミリほどの扁球形、黒く熟して葉の落ちた枝先にぎっしりとつく。  撮影:(2007.11.4 三股町) 画像12 果実は液果で2個がくっ付いているのが普通だが、1つのものもある。
撮影:(2007.11.4 三股町)
画像13 種子は1個の球に1個あり、直径約3ミリほど。まだ未熟な若い果実。
撮影:(2006.11.4 三股町)
画像14 根は黄赤色で 昔は茜染めの染料になった。種子のほかに根茎でも増える。
撮影:(2007.10.27 西米良村)
画像15  あかね雲、茜色の空は人によってかなりイメージが違うと思われる。
    画像14の根のように黄色が入った赤色(舗装道路のセンターライン
  の色っぽい)と認識している場合も多いのではなかろうか。
      アカネの根から取った染料で染めた色が茜色で、色見本の3属性で表現
          すれば、4R 3.5 /11で表示される色で、ややくすんだ赤で黄みは少ない。
        また、私の持っている広辞苑には、茜雲も茜空も出てこないが、大辞林では
         「茜雲」に、(朝日や夕日を受けて茜色に照り映える雲)と説明されている。
    撮影:(2007.11.10 宮崎市内で写した作者のイメージの茜雲)
トップへ 科名リストへ