FILE NO 52 宮崎と周辺の植物
エゴノキ Styrax japonica Sieb. et Zucc.
えごのき エゴノキ科
撮影日 2008.6.21
撮影場所 県中部

  北海道から琉球、朝鮮半島〜中国にまで分布するそうで、県内では里山でよく見かける落葉性の小高木。
  万葉集にも3首あり、果実や枝葉が様々に利用され多くの地方名で呼ばれて里山の人々に親しまれてきた。
  大分の田舎で育った小学校時代、谷川でこの実を石で叩いて浮かんできた小魚を取ったこと、出てくる泡が石鹸代わりになり[石鹸の樹]と憶えたことを思い出す。
 和名は、若い実を齧るとえぐい味がするからという。
画像1  谷沿いの道側に張り出した枝を下から見上げた果実。
集落の奥にある里山の谷近くなど、水気の多い土地でよく見る。
えぐみの成分は果皮に含まれるエゴサポニンといわれる。 
画像2 エゴノキは、枝を横に大きく張り出す性質があり、枝の上側に
    広がった葉の下に隠れるようにぎっしりと真っ白い花が葉柄に
    ぶら下がってつくので、花は下から見上げるように眺めた時が
一番よく見える。  撮影:(2008.5.31  高千穂町)
画像3 道路わき傾斜地、あふれるような花をつけた高さ6〜7m
    ほどの樹。まるで満開のソメイヨシノのように見える。 
撮影:(2005.5.4 西米良村)
画像4 花は1〜4個が長さ3cmほどの葉柄でぶら下がり、5つに深裂した直系約2.5cmの両性花。撮影:(2008.5.31 高千穂町) 画像5 オシベは10個、メシベ花柱はオシベより長くて花外に突き出る。深さ5ミリほどのガク先は5浅裂する。
撮影:(2007.5.20 西都市)
画像6 互生する葉は5ミリほどの柄を含めて長さ約8cmで先は細く尖る。葉柄は曲がっている。 撮影:(2008.6.28 西米良村) 画像7 葉は基部が楔形で、卵形を基本に長さ、幅が変化する。縁の鋸歯はごく浅く疎ら。 撮影:(2008.6.28 西米良村)
画像8 葉の下面には若葉時の星状毛が少し残り、脈腋には僅か毛叢が見える。
撮影:(2008.6.28 西米良村)
画像9 未だ残る新葉時の枝や葉の下面の星状毛は、成葉時には殆んど取れてしまう。 撮影:(2007.5.20 西都市)
画像10 若い樹の樹皮は縦に細い縞模様が出るが滑らかで、均質な材質は器具材や和傘の轆轤に使うという。
撮影:(2005.5.4 西米良村)
画像11 若い果実は灰白色、長さ1.3cmほどの卵形で水分が多く、中に種子1個がある。
撮影:(2004.7.17  宮崎市)
画像12 若い果実の断面。齧ってみると果皮よりも中の種子の周囲が特に〔えぐみ〕が強く、えぐみとはこのような味かと再確認するほどで、えぐみからエゴノキ(えごのき)になったとの説に納得出来る。
撮影:(2008.6.28 西米良村)
画像13 枝は紫褐色で小さな細い縦の条がある。小枝は柔らかく、炭俵の底当材にしたという。
コヤスノキは肥やしの樹で、果実を牛馬に食べさせると太ることからきたともいう説もある。 撮影:((2008.5.31 高千穂町)
画像14 枝先でよく見かける虫えいは、[エゴノネコアシ]と呼ばれ、エゴノネコアシアブラムシの幼虫によるもの。
撮影:(2007.8.4 小林市)
画像15 長さ3cmほどの袋状になった虫えいがバナナの房状にまとまり、やがて先端が破れて成虫が外へ飛び出す。
撮影:(2007.8.4  小林市)
画像16  淡黄緑色の袋を破ってみると中に雌の[エゴノネコアシアブラムシ]
   が入っている。虫こぶの中では有翅と無翅の雌だけがいて、秋になると翅の
  ある黒っぽい有翅虫が増えて外に飛び出し、イネ科のアシボソで世代交代
   しながら時期になると、またエゴノキに 戻って産卵するというサイクルを
繰り返すらしい。           撮影:(2007.8.4 小林市)
トップへ 科名リストへ