FILE NO 261 宮崎と周辺の植物
フウトウカズラ Piper kadzura (Chois.) Ohwi
風籐葛 コショウ科
撮影日 2005.2.16
撮影場所 串間市

 沿海の林内や林縁に多いが、かなり山手の林内でも見られるつる性の木本、分布は 関東南部以西となっている。
 香辛料として有名な胡椒の仲間で、果実もよく似ていることから蔓胡椒とも呼ばれるが、残念ながらこちらには辛みが無いのでコショウの代わりにはならない。
 杉の木などにも高く這い登っていることがあるが、節から伸ばした気根を樹皮に食い込ませて上へ伸びていく。
画像1 冬でも緑が多い沿海林の中で、赤い果実はよく目立つ。
画像2  花は雌雄異株、長さ10cmほどにもなる黄色いひも状の穂状花序となる。
 花の様子も果実の形も独特なので昔から注目されたはずだが、万葉の時代から今に至るまで詠まれた詩歌も無いようで、またこれに関する話もあまり見あたらない。
 江戸時代の百科辞典といわれる和漢三才図絵(正徳3年:1713年)に「諸風(神経痛、リュウマチ、腰痛など)を治すので風籐の名がある」という趣旨の記載があるらしいので、正倉院にある「種々薬帳」に納められた生薬としての胡椒に似ていることは知られていたようだ。参考資料(薬草カラー大事典2000年主婦の友社)
撮影:(2003.5.10 串間市)
画像3 多くの蔓植物が茂る樹林の中で、ひも状にぶら下がった黄色の花穂は目につく。
撮影:(2003.5.10 串間市)
画像4 雄花序。萼も花弁もなく雄しべが3個だけある花はきれいな螺旋状になってつく。
撮影:(2003.5.10 串間市)

画像6 果序には直径4ミリほどの球形の果実が螺旋状につき、寒くなると赤く熟す。中に楕円状をした長さ3ミリほどのつやのある茶褐色の種子が1個ある(画像12に写真)。
 味はなく独特の青臭ささがある。 

画像5のコメント  蔓は道路のり面のセメント吹きつけや崖地でも、また固い樹皮の樹木であろうと構わずに、巻き付くことなく着生し、気根を出して伸びてゆく。
画像5 コメントは右にあります。   画像5、6 撮影:(2005.2.16 串間市) 
画像7 果軸の螺旋模様がよく見える。
撮影:(2003.12.29 国富町)
画像8 葉には5つの脈が目立ち、下面には軟毛がある。撮影:(2003.5.10 串間市)
画像9 葉柄は長さ2cm前後、先の尖った卵形〜長楕円形、濃緑色をした8cmほどの長さの葉を互生、花穂は互生する葉と対生する形で伸びる。
撮影:(2005.2.16 串間市)
画像10 杉によじ登っている株の気根は浅く樹皮の隙間に入っており、引っ張れば抜ける。
 下部の蔓の表面は小さな皮目らしいものがある。撮影:(2004.1.31 国富町)
画像11 道路横ののり面セメント吹きつけに張り付いた気根。 撮影:(2005.2.16 串間市) 画像12 種子とその中の胚乳(実際の胚乳はもっと白っぽい)。撮影:(2005.2.16 串間市)
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