FILE NO 337 宮崎と周辺の植物
ハマゴウ Vitex rotundifolia L. fil.
浜ごう クマツヅラ科
撮影日 2004.6.26
撮影場所 宮崎市青島

 ハマゴウは「浜這う」から来ているという解説が多いが、倭名類聚抄(承平4年?,源順編)に波末波非(はまはい)とあるそうだ。
  花の観賞というよりは、果実に含まれる成分から生薬名蔓荊子(まんけいし、風邪、頭痛、その他に薬効がある)として知られていたようだ。
 宮崎では日南海岸の砂浜に広く分布しており、海水浴の傍で花が見える。
 果実だけでなく茎葉にも同じような精油があり、神経痛、手足のしびれ、引きつけに良いと入浴剤としても使われるそうだ。
画像1 熱く焼けた砂浜の上に枝を伸ばして広がり、立ち上がった新枝の頂に寸の詰まった円錐花序をつける。普通花の色は淡青紫色。
画像2 葉は広卵形で先は尖らず縁は全縁、対生し、真夏の太陽に向かって花を咲かせる。 画像3 花冠は漏斗状になって先は5裂、オシベ4個とメシベ1個が花冠の外に飛び出す。

画像4 花は普通淡青紫色だが、ここでは白花の株も混じる。
(県北部、2002.7.14撮影)


画像6 縁が白く見える広卵形の葉、花の後に残っている萼の中に果実が入っている。
画像5 この一帯は白花のハマゴウが繁殖し、辺り一面の石ころを覆っている。 画像4〜7は、2002.7.14 県北海岸で撮影。
昔からいろいろな形で利用されているようだが、宮崎でも地元の植物に詳しい人に直接聞き取りした結果がまとまっている。
  それによるとハマゴウのことをアマメノキといい、枝葉を押し入れや戸棚に置いておくとゴキブリが来ない(宮崎市江田)、カフスメといい、生の葉や枝をいぶして蚊を追う(宮崎市白浜)と記載されている。
( 宮崎県地方史研究紀要第19輯(平成4年度)抜刷:宮崎の植物民俗覚書(南谷忠志氏1992年)から引用)  
画像7 下唇中央裂片の膨らんだ部分の毛が少ない気がするが、花色以外に違いは見えない。

画像9 幹は砂に隠れたり、砂上を這ったりしながら多くの枝を出して広がり、太い枝も柔軟性に富んで折れにくい。

画像8 枝は4稜があって方形になる。 画像10 葉柄は数ミリほど、葉の裏面は灰白色。
画像11 今年は特に台風が多くて茎葉は相当傷んだり、枯れたりしているが、この株は比較的しっかりとした葉がついている。
(撮影:2004.10.23 宮崎市青島)  
画像12 果実は大きくても径5〜6ミリほどの僅かに横長の球形で、萼は最後まで残っている。
(撮影:2004..10.23 宮崎市青島)
トップへ 科名リストへ