FILE NO 387 宮崎と周辺の植物
ハルニレ Ulmus davidiana Planch.var.iaponica (Rehd.) Nakai
春楡 ニレ科
撮影日 2012.3.7
撮影場所 田野町

北海道~九州大隅・薩摩半島までと朝鮮~中国東北部まで分布するという落葉性の高木で、宮崎は南限に近い生育地と言える。
 自生する場所の条件が湿り過ぎず乾き過ぎずの肥沃地なので、結局川近くの土壌が堆積した平地が最適となり、宮崎でもそのような場所に生えている。
 牧野図鑑では、ニレは滑(ヌレ)で古名ヤニレは脂滑(ヤニヌレ)の略であり、樹皮の内側が粘ることからとある。
 万葉集にも楡の皮を剥ぐ歌があるし、延喜式には楡の皮の利用に関する記載があるらしい。
画像1 枯れ木に灰を撒いたほどの小さくて目立たない花が咲いた枝。
画像2 山間地の川べりで新葉を広げた樹、高さ15m以上もありそう。
撮影:(2011.4.6  西米良村) 
画像3 ちっとも目立たない花が少しは色が見える果実に変わる頃、
     新葉がようやく開き初めるが周囲の木々に葉はまだ少ない。
撮影:(2008.4.5 宮崎市) 
     
画像4 花は前年枝の葉腋にかたまってつくが、小さいので近寄って見て初めて分かるほど。
撮影:(2012.3.10 田野町) 
画像5 花は両性花で10個以上が短い柄の先について、先ずメシベ花柱が開く。
撮影:(2012.3.10 田野町) 
画像6 左右に開いた淡紅色の花柱の間からオシベ花糸が伸びて葯が開く。手前の丸い塊は開く前の葯。 撮影:(2012.3.10 田野町)  画像7 花被は膜に覆われたような長い鐘形で花柱先まで長さ5ミリ強、花柄は約1ミリ、花被は先が丸く4裂する。 撮影:(2012.3.11  田野町) 
画像8 枝に互生状に咲いた花は見上げても開花しているように
        見えないので、花期を確認しない内に新葉が開いてしまう。
 撮影:(2012.3.10 田野町 )  
 
 
 画像9 葉は2列に互生して鋸歯と羽状脈が目立つ倒卵状楕円形。
    若い葉では特に折りたたまれた羽状脈のしわが目立つ。
 撮影:(2011.4.28 田野町 ) 
画像10 葉は長さ10cm前後、先は急に細くなって尖るが形大きさともに変化が大きい。葉柄は長さ約1cm。撮影:(2011.4.28  田野町) 画像11 上面はごく短い微毛が散生して指で触るとざらざらする感じがある。
撮影:(2011.4.28 田野町) 
     
 画像12 葉の下面。側脈が整然と並んで葉縁まで通り、最大幅辺りの脈は分岐する。
撮影:(2011.4.28 田野町) 
   画像13 葉の下面は短毛が葉脈に出て、脈腋にはまとまった白毛が目立つ。
撮影:(2011.4.28 田野町) 
     
画像14 若枝は赤褐色でごく短い軟毛が密生。葉の基部は楔形で左右不同で托葉は早落する。撮影:(2011.4.28 田野町)     画像15 葉の上面で小白点に見えるのはざらざら感の元になる微毛。鋸歯は重鋸歯となる。 撮影:(2011.4.28 田野町)  
     
 画像16 枝は2年枝になると毛が落ちて皮目が現れ、その後徐々に縦じわが出てくる。
撮影:(2011.4.28 田野町) 
  画像17 樹皮は淡灰褐色で縦に荒い裂け目が生じ、不規則な小片になって剝がれる。
撮影:(2008.4.5 宮崎市)  
     
画像18 出来立ての果実は花びらのような淡黄色で遠くからは花が咲いたように見える。
撮影:(2002.3.21 田野町) 
  画像19 果実は長さ12~3ミリほどの翼果で、長さ5ミリほどの楕円状種子の形に膨らむ。
撮影:(2008.4.5 宮崎市) 
トップへ 科名リストへ