FILE NO 560 宮崎と周辺の植物
ヘツカシダ Bolbitis subcordata (Copel.) Ching
辺塚シダ オシダ科
撮影日 2006.10.8
撮影場所 宮崎市

  九州南部〜沖縄、インドシナにかけて自生する常緑性のシダで、宮崎では中部以南近海地の陰湿な林内に見られるが、環境条件等から自生地はそれほど多くはない。
  和名のヘツカ(辺塚)は鹿児島県の大隈半島南端、佐多町辺塚のことで、ここは他にもヘツカラン等ヘツカが頭についた植物が見つかった面白い地域となっている。
  この種小名「subcordata」は(やや心臓形の)の意味で、羽片の基部の形を表現しているようだ。
画像1 渓谷の中を行く登山道脇の傾斜地、薄暗い照葉樹林の中で周囲に調和した地味な色彩で、ひっそりと小群落を作っている。
広く斜上した栄養葉が展開した株の中心から胞子葉が1本立っている。
葉は、独特の色と形をした栄養葉と、真っ直ぐ伸びる胞子葉が高く伸びて分り易い。
画像2 栄養葉の全景。1回羽状複葉で側羽片は10〜15対、先端に頂羽片を
伸ばして全長は70cm近い。葉の色は暗緑色で縁は鋸歯状に切れ込んで、
裂片が少し縒れているように見えるのが特徴。 撮影(2006.3.4 宮崎市 )
画像3 頂羽片の先端は急に細くなる。
撮影(2006.3.4 宮崎市 )
画像4 側羽片は短い柄があり、先は細く伸びる。
撮影(2006.3.4 宮崎市 )
画像5 羽片基部は切方〜心形。小羽軸と葉軸には細い鱗片がまばらに圧着する。
撮影(2006.3.4 宮崎市 )
画像6 葉脈は、互いに連結して不整に網目を作るが、中の1本の脈は遊離している。
撮影(2006.10.8 宮崎市 )
画像7 胞子葉は栄養葉と違って真っ直ぐに立ち上がり長い葉柄の先に羽片を互生する。
撮影(2006.3.4 宮崎市 )
画像8 胞子葉の羽片は短く、縁に波状の鋸歯が出て鎌状に曲がる。 撮影(2006.3.4 宮崎市 )
画像9  胞子葉羽片の裏面には頂羽片にまで、
ぎっしりと胞子嚢がつく。
撮影(2006.3.4 宮崎市 )
画像10 胞子嚢はまるで細かい砂粒を振りかけたように羽片全面につく。
撮影(2006.3.4 宮崎市 )
画像11 頂羽片の先にできた無性芽は直径3ミリほど、4cm近い茶褐色のひげ根がついている。
撮影(2006.10.8 宮崎市 )
画像12 葉柄基部と根茎には黒褐色で不透明な卵状披心形の鱗片がつく。
撮影(2006.3.4 宮崎市 )
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