FILE NO 561 宮崎と周辺の植物
ヒキオコシ Rabdosia japonica (Burm.) Hara
引起 シソ科
撮影日 2005.10.22
撮影場所 国富町

 別に延命草ともいい、いかにも薬効のありそうな名前だと感心するが、この草が室町時代の国語辞書である明応五年(1496年)版の節用集に、「延命草:ヒキヲコシ」と記載があるそうで、古くから 知られていたようだ。
 道端に倒れていた行者に、通りかかった弘法大師がこの草のしぼり汁を含ませたら、たちまち回復したという伝説で引起しとなった話は有名。
 物資の無かった戦時中、苦味健胃薬「延命草末」の名で広まったという話も聞く。
画像1 山道の脇などによく群生しているが、葉の色は全体緑色が薄く、ごく小さな花の淡紫色は遠くからは白く見える。 確かに葉を噛んだ時の苦さは、胃に効きそうな気がする。
画像2 高さ1mほどの多年草で、茎は中ほどから横枝を出して大きな円錐花序を作る。
撮影:(2005.10.22 国富町).
画像3 茎の先は長い総状になり、疎らに伸びた花梗にごく薄い紫色の花を数個つける。
撮影:(2006.10.14 日向市)
画像4 花冠は長さ6ミリほどで上下に分れ、上唇は立って浅く4裂、メシベ、オシベは下唇より長く突き出る。撮影:(2006.10.14 日向市) 画像5 上唇には紫色の小斑点があり、オシベ4個はメシベとともにボート状の下唇に包まれる。
撮影:(2006.10.14 日向市)
画像6 葉の長さは普通10cmほど、縁にそろった鋸歯があり、基部は急に狭くなって翼がつく。
撮影:(2005.10.22 国富町)
画像7 葉の基部は葉柄に沿ってなだらかに翼をつけて茎につながる。
撮影:(2006.10.14 日向市)
画像8 脈は下面に浮き出て、中央脈、横に伸びた1次側脈、側脈をつなぐ2次側脈がよく見える。
撮影:(2005.10.22 国富町)
画像9 葉の下面。基部は急に括れて葉身と葉柄の境が分り易く、脈上には短い軟毛が見える。
撮影:(2006.10.14 日向市)
画像10 葉の上面、毛は殆どない。 葉を噛むと口が曲がるほどではないが、苦くて後に残る。
撮影:(2006.10.14 日向市)
画像11 茎は四辺が少し溝状に凹んだ四角形で、下向きの細毛が密生している。 
撮影:(2006.10.14 日向市)
画像12 短毛のあるガクは長短なく5裂、長さは花の時期は2ミリほど、花後には少し長くなる。
撮影:(2006.10.22 宮崎市)
画像13 まだ未熟だが分果は4個、長さ1ミリ強ほどの倒卵形。 撮影:(2006.10.22 宮崎市)
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