FILE NO 346 宮崎と周辺の植物
ホウライカズラ Gardneria nutans Sieb. et Zucc.
蓬莱葛 マチン科
撮影日(花) 2005.7.9
撮影場所 田野町A 
撮影日(果実) 2001.12.9
撮影場所 田野町B

 ホウライカズラの葛は見たとおりの蔓になる植物で、蓬莱は中国の伝説にある不老不死の蓬莱山の蓬莱のことで、(普通に見られない珍しい植物なので、しゃれてつけたのだろう)と牧野図鑑では書かれている。
 千葉県以西に分布しているとされ、元来が少ない種で、県によっては絶滅危惧植物に指定されるほど生育地が減少しているところもあるようだが、宮崎県ではまだそれほどではないようだ。
 分類上では、以前はシソ目に属するフジウツギ科に置かれていたが、胚の形成等の違いから現在はリンドウ目に属するマチン科ホウライカズラ属とした図鑑に従って、マチン科とした。
 マチン科は日本では聞きなれない科だが、インド原産の常緑高木のマチンは、赤い果実の中の種子から猛毒で有名なストリキニーネが取れる植物として知られているそうで、マチンの学名には[Strychnos]がついているし、その英名も「ストリキニーネの木」というそうだ。
 珍しいこのカズラは、実用的な利用法もなく、別名も地方名も無いことから、誰も見たことも行ったこともないが、あるらしいという仙人の住む伝説の蓬莱山を連想したのだろうか。
画像1 高い木につるで絡んで登ってゆく籐本植物で、少し離れた場所から見ると同じ緑色の木の葉に紛れて判らないので、全景画像は撮影してないが、つるそのものはこの画像程度の太さである。
画像2 咲き始めの花、少し厚めの花冠裂片は白くてポキンと折れるほど堅く、深く5裂して驚くほどに反り返る。 画像3 対生する葉の葉腋から1個ずつ、途中に苞のある1.5cmほどの花柄を伸ばして、5つのオシベが葯に堅く取り囲まれた花柱の突出した、直径1.5cmほどの花を咲かせる。
画像4 5裂した花冠裂片の反り返り具合は極端で、しかも咲き始めたらすぐに反り返る。 画像5 開花後の花冠は、だんだん黄白色を帯びてくる。堅いオシベの葯を一部無理に剥ぎ取ると、内部にある短毛が見える。
画像6 葉は対生して革質で無毛、鋸歯はなく縁は大きく波打って光沢がある。 画像7 対生する葉の葉柄は基部が横線で連絡している。
画像8 葉の下面は淡緑色で、中央脈がやや隆起して無毛。 画像9 細い枝は無毛で緑色。太い枝は皮目が目立ち、節部は横条が肥大する。
画像10 果実は晩秋、朱色に熟すが、葉の間に隠れて目立たない。 画像11 球形の果実は、直径1cmほど。
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