FILE NO 268 宮崎と周辺の植物
イヌガヤ Cephalotaxus harringtonia (Knight)K.koch
犬榧 イチイ科
撮影日 2013.3.29
撮影場所 宮崎市

  本州の岩手県以南、四国、九州~朝鮮、中国に分布する雌雄異株の常緑小高木で、カヤに似るがあまり役に立たない意味でイヌがつくが、カヤとは縁が遠い種とされていた。エングラーの分類ではイヌガヤ科イヌガヤ属だったが、分子系統学が基礎の分類体系ではイヌガヤ科はイチイ科イヌガヤ属となりカヤ属と並んだので、遠い仲間とは言える。
 宮崎では林内・林縁に幅広く自生するが、大きな樹は少ない。
 枝葉の形は良いが、全体樹形は不整形。
画像1 低山地の道路脇、高さ5mほどの樹の花枝は意外と柔らかい
画像2 日当たり良好な谷近くの平地の高さ4mほどの未だ若い樹、全体樹形の
       感じが見えるので掲載。不整形に出た横枝が長短不規則に伸びて広がる。
撮影:(2013.3.29  宮崎市) 
画像3 雄花は前年枝の葉先・葉間につき、左右に葉を広げた葉軸の上下につく。
撮影:(2013.3.29 宮崎市) 
 
画像4 前年枝を下から見上げた画像で、丸っこい雄花がぎっしりとつく。
撮影:(2013.3.29  宮崎市 ) 
画像5 雄花の花柱は枝状に分かれて先に多くの葯がつく。右の葉上面の汚れは散布された花粉。花柄は長さ約3ミリ。撮影:(2005.4.9  宮崎市 ) 画像6 雄花は差し渡し1.4cmほどの大きさで、外側に鱗片状の苞5~6個が上下2列に並んでいる。撮影:(2013.3.29  宮崎市)
     
画像7 雌花序は枝先に2~3個ついて柄も含めて高さ約5ミリ、花序は球状で大きさ3ミリほど。
撮影:(2013.3.29  宮崎市) 
  画像8 雌花は大きさ1ミリほどの壺状で三角状の苞に囲まれている。
撮影:(2013.3.29  宮崎市) 
 
 画像9 葉は基本的に互生する。側枝(腋芽から横に伸びた小枝)の葉は
      基部が捻じれて左右水平に広がる。側枝の先端に小新枝がある。
撮影:(2013.3.29 宮崎市) 
画像10 葉は長さ3cmほどの線形で光沢のある深緑色、小葉柄部の基部は軸に流れて細い板状仕切りを作る。 撮影:(2013.3.29  宮崎市) 画像11 葉の先端は細く鋭く尖っているが、手で触っても強い痛みは感じない。カヤの場合は強い痛みがある。撮影:(2013.3.29 宮崎市) 
     
画像12 葉の下面は、中央の太い緑色の主脈の周囲が灰白色の気孔帯となっている。 
撮影:(2013.3.29  宮崎市)
画像13 画像12の気孔帯を拡大。縦に小さな気孔が線状に並んで脈のように隆起する。
撮影:(2013.3.29 宮崎市)
     
画像14 枝別れする分岐部は、基部を保護するように多くの硬い裂片で覆われている。
撮影:(2013.3.29 宮崎市)  
  画像15 樹幹は縦に浅い裂け目ができて、剥離する灰褐色の樹皮で覆われる。材は堅くて器具材等になる。撮影:(2013.3.31 宮崎市)  
     
画像16 果実は長さ2.5cmほどの楕円形でつやのある種子だけ。 撮影:(2006.7.29 西米良村)   画像17 種子は翌年の10月ごろ熟して外種皮が紅紫色になる。 撮影:(2012.9.30 宮崎市)  
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