FILE NO 573 宮崎と周辺の植物
イスノキ Distylium racemosum Sieb. et Zucc.
いすの木 マンサク科
撮影日 2007.4.9
撮影場所 綾町

  静岡県以西、台湾中国に自生する雌雄同株の常緑高木で、古名に柞(ゆすのき)等多くの名もあるが語源は不明とされ、いくつかある植物の語源を追求した本でもイスノキについては触れられていない。
  花や果実は殆ど目立たないが、九州の田舎で子供時代を過ごした年配者なら多分、この虫えいで笛遊びをした経験があり、これは「ひょんの木」、猿笛の木だとして判別できると思われる。
  南九州の酒宴での遊び(ナンコ)のナンコ棒の材料。
画像1 濃緑色の葉間の小さな花は殆ど目立たないが、寄ってきて葉に虫えいを作るアブラムシは受粉に何か貢献しているのだろうか。 アブラムシ等の種類は分らないのでアブラムシと記載した。
画像2 花序は総状で、先端に雌花、下部には雄花がついて高さは3.5cmほど、
 花弁はなくてガク片3〜6個、オシベは5〜8個が幅8ミリほどに広がる
撮影:(2007.4.9 綾町 )
画像3 雌花の終期、2個の花柱は長さ7ミリほどで星状毛が散生、子房にも星状毛が密生。
撮影:(2007.4.9 綾町)
画像4 雄花、葯は赤くて花糸に比べて太い。
撮影:(2007.4.9 綾町)
画像5 新葉が出たら、もうアブラムシが虫えいを作る。 撮影:(2006.3.26 綾町) 画像6 虫えいを切断してみると、中に小さなアブラムシが見える。 撮影:(2006.3.26 綾町)
画像7 葉の跡形もなく虫こぶ状になった虫えいで長さ3cmほど。撮影:(2007.4.9 綾町) 画像8 画像7の虫えいを縦断した画像、中にアブラムシが見える。撮影:(2007.4.9 綾町)
画像9 長さ7cm、幅5cmほどもある完全に木化した虫えい。
    上部には楕円状大きさ1.4cmほどの蓋つきの穴がある。

和漢三才図会(正徳二年(1712年)寺島良安、東洋文庫516
    島田勇雄他訳注)に瓢樹の項として解説の中に、殻に孔口があり、
 塵埃を吹き去ると空虚になる。大きなもので桃、李ぐらい。
  その文理は檳榔子のようである。これを用いて胡椒、秦椒など
     の粉末を収め入れる瓢箪の代わりにする。それで俗に瓢の樹という。
    或いは小児が戯れにこれを吹いて笛にする・・・と書かれている。
撮影:(2003.4.13 綾町)
画像10 虫えいは1つの枝に2〜3個つくこともあり、花や果実の代わりに目立つ。
撮影:(2006.1.9 日向市)
画像11 宮崎では、これを吹くと、とっこ(あおばずく)の鳴き声に似た音が出るからとっこの木とも言うらしい。 撮影:(2006.1.9 日向市) 
画像12 果実は長さ1cm弱で黄褐色の毛が密生して先端に長い花柱が残る。
撮影:(2006.9.3 三股町)
画像13 種子は光沢のある淡褐色で長さ4ミリほどの長楕円形で殻は堅い。 
撮影:(2006.9.3 三股町)
画像14 葉は互生し、革質で光沢があり大きさの変化が大きいが、普通4〜5cm内外で全縁。
撮影::(2007.4.9 綾町)
画像15  枝は淡褐色で良く枝分かれし、樹皮には縦に小さな筋がある。
撮影:(2007.4.9 綾町)
画像16 出たての新葉には葉縁にも星状の鱗毛が目立つ。 撮影:(2007.4.9 綾町) 画像17 葉の下面では少し脈が見える。葉柄は5ミリほど。  撮影:(2007.4.9 綾町)
画像18 全景。大きいのは20mにもなるが普通に見るのは高さ5mほど。南九州では住宅の生垣にする家も多い。 撮影:(2006.1.9 日向市) 画像 19 幹は淡褐色で、古木になると、うろこ状に剥がれ落ちてでこぼこになる。
撮影:(2007.4.9 綾町)
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