FILE NO 544 宮崎と周辺の植物
キヅタ Hedera rhombea (Miq.) Bean
木蔦 ウコギ科
撮影日 2004.11.7
撮影場所 宮崎市椿山

  属名にヘデラ(Hedera)とあるように、観葉植物やグラウンドカバーとして広く利用されている常緑のアイビー(西洋木蔦)と同じ木蔦であるが、何故か明治末期に入ってきたアイビーばかりが持て囃されて、在来種のキヅタの方はお呼びがかからない。
  確かにアイビーには斑入りとか形の変わった葉など多くの品種があるが、キヅタでもその気になれば品種改良はできると思われる。
  ヤドリギなども同じだが、西洋では、冬でも青々とした葉の植物が少ないこともあって、冬でも緑のアイビーは特別の力の象徴とされ、家屋の壁に這わせれば雷や魔力を避けると信じられてきた歴史があり、観葉植物等の形になって日本に取り入れられたと考えられる。
  ただ、在来種のキヅタは確かに枝葉が茂りすぎて明るさに欠けるという欠点はあるようだ。
  現在住んでいる宮崎市は、街づくり計画の中でアイビー大作戦として、公共施設を中心とした建築物の壁面等をアイビーなどのつる植物で覆う取り組みを続けているが、すぐ近くの野山にあるキヅタは作戦に参加していない気がする。
種小名rhombeaは、菱形の意で葉の形から。
画像1 杉の木のキヅタ。樹上や岩上で年中見られ、乾湿地等の生育地にはあまり拘らないようだ。 参考:花と樹の事典(木村陽二郎監修、植物文化研究会編、柏書房、2005年)  
画像2 冬でも青々とした葉をつけて茂っているのでフユヅタとも云われるとおり
花は10月から1月初めにかけて、日当たりの良い枝先に散形花序をつける。
撮影:(2004.11.7 宮崎市椿山)
画像3 花序の軸から集散状に伸びた1cmほどの小花柄の先に、直径約8ミリの花が散形に開く。撮影:(2006.1.7 宮崎市内海) 画像4 花は両性花で、黄緑色の花弁5はやや反り返り、オシベ5、花盤はよく目だって中央の花柱は短い。撮影:(2006.1.7 宮崎市内海)
画像5 果実は直径1cmに満たない球形で、初めは赤褐色だが5月ごろに黒く熟す。
撮影:(2005.1.29 田野町)
画像6 果実.。上部は残った花柱が取っ手のように見えて何かの容器の蓋に似ている。
撮影:(2006.1.7 宮崎市内海)
画像7 葉は菱形が多いが、若い枝の葉は切れ込んだり、尖ったりとかなり変化する。葉の長さは5〜6cmまでで葉柄もほぼ同じ長さ。
撮影:(2006.1.7 宮崎市内海)
画像8 葉は互生して全縁で厚く、上面は深緑色だが、下面やや淡緑色を帯びる。両面とも脈はあまりはっきりしない。
撮影:(2006.1.7 宮崎市内海)
画像9 茎から多数の付着根をだしながら樹によじ登ってゆく。撮影:(2006.1.9 都農町) 画像10 粘液で樹幹に張り付きながら植物体を支える付着根。撮影:(2006.1.9 都農町)
画像11 樹幹が滑りやすい樹木でも、平気で付着根を伸ばして上へ伸びてゆく。
撮影:(2006.1.9 都農町)
画像12 樹幹にしっかりとまつわりついてよじ登り、てっ辺近くまで届いている。
撮影:(2006.1.7 宮崎市内海)
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