FILE NO 309 宮崎と周辺の植物
キンゴジカ Sida rhombifolia L.
金午時花 アオイ科
撮影日 2004.9.19
撮影場所 川南町

 県内では何処でも見られるという花ではないが、帰化して住み着いた場所の周辺ではかなり点々と広がって群生し、その範囲を少しずつ広げているような気がする多年草。
 和名は、インド原産で花の赤いゴジカ(まだ見たことはないが、(午時花)は漢名、昼頃咲いてその日のうちに萎んでしまう花で、観賞用に昔日本に持ち込まれたものという。)に対して黄色い花を咲かせることからのようだ。  
画像1 畑境の傾斜地にまるで栽培しているように群生している。
画像2 茎は1mほどにもなり、全体に短い毛が多い。根は地中深く真っ直ぐ伸びて、
    草丈が30cm伸びた程度の茎でも、手で引き抜こうとすると両手でも難しい。
(撮影:2004.7.10 川南町)
画像3 互生する葉の腋から2〜4cmほどの
細い花柄を出して先に直径1.5cmほどの淡黄色の5弁花をつける。(撮影:2004.7.10 川南町)
画像4 花弁は5個で、雄しべは中心に集まって雄しべ筒となり、先は開いて多くの花糸に分れる。花柱はオシベ筒の中を貫いて伸びる。 (撮影:2004.9.19 川南町)
画像5 萼はロート状で先は5裂して3角状。
(撮影:2004.9.19 川南町)
画像6 葉表)葉は基部近くを除いて鋸歯のある菱形に近い卵形で、葉柄は1cm近くあって星状毛がある。(撮影:2002.9.1 川南町)
画像7 茎は硬くて微細な星状毛があり、葉柄の基部に糸状の托葉がある。花柄に関節がある。
(撮影:2002.9.1 川南町)
画像8 関節で折れ曲がった果柄の先にある萼は、10個の分果の部屋に仕切られている。
(撮影:2002.9.1 川南町)
画像9 果実は萼に包まれた分果で、10個に分離する。(10個の分果と空になった萼)
(撮影:2002.9.1)
画像10 分果は大きさ3ミリほどで2片からなって、各片の先端は次第に細くなって角状になる。
(撮影:2002.9.1)
(帰化植物について)
  このキンゴジカを図鑑等で見ると、帰化植物としているものもあるが、多くは在来植物として整理している。そして在来種としたものの中でも屋久島、種子島以南に自生し、本州等に帰化しているという記載の仕方をしている図鑑もあり、このフャイルも宮崎に帰化した植物だと考えて整理している。
  大体屋久島、種子島以南〜熱帯アジアに分布するようだが、屋久島に自生していれば間違いなく日本にある植物であり日本に帰化したものではないということになる。
  しかし素人から考えて、その植物が昔から自生していたということを名前で確認することは、そこの地域住民に役立つ植物として利用される中で呼び名が付けられていたものでない限りは難しく、ましていつ頃からあったかの確認は殆ど困難であろうと思われる。
  日本は他の国に比べ島国であるという特性に加えて、万葉集を初めとする多くの詩歌集等で花や木の名前などをさまざまな形で記録しているという世界でも珍しい国なので、昔からある植物の確認はできそうに思えるが、有名な花や木はそうだとしても、それ以外のいわゆる雑草としか呼ばれない多くの花たちについては、文字等の記録による確認は期待できるとも思えない。
  またいつ頃から入ってきた植物を帰化植物と考えるのかについても、図鑑等の説明では、さすがに縄文時代末期に稲と一緒に入ってきた植物を帰化としたものはないが、安土桃山時代以降としたり、江戸時代末期以降としたり、明治維新前後以降として整理したものなどがあって、なおのことややこしい。
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