FILE NO 541 宮崎と周辺の植物
コウヤボウキ Pertya scandes (Thunb.) Sch. Bip.
高野箒 キク科
撮影日 1005.12.4
撮影場所 宮崎市

 種小名の「scandes」は蔓性のとか、まとわりつくという意味で、ちょっと見ると草のように見えるこの落葉小低木が、寄りかかって上に伸びてゆく性質を表しているようだ。
 日当たりの良いやや乾燥気味の疎林地に生え、県内では中部以北に自生するが、どこにでもあるわけではないけど珍しいほどでもない。
 寄りかかるものがない場合は、50cmほど立ち上がって弓状に横にしなり、斜めに傾いた枝先に差し渡し直径2cmほどの花をつける。
画像1 殆ど蔓のように見える細い枝が垂れているが、茎もごく細い。
花は1年目の枝先にだけつくので、花が2年目の枝先につくナガバノ
コウヤボウキとの見分けになる。撮影は全て(2005.12.3.と4 宮崎市)
画像11、12は、2年枝の先端が地面に根を伸ばし、新株を作っているらしき様子。
画像2 高野箒の名前の由来は、昔、高野山では竹、果樹など  
           商品価値のある作物は煩悩のもとであり(修行の妨げになるとして)
          栽培を禁じたので、これの幹や枝を集めて箒を作ったことによる。 
           花と樹の事典(木村陽二郎監修 植物文化研究会 2005 柏書房)から 
画像3 頭花は13個前後の同型、両性の小花からなる。総苞片は長さ1cmほど、多列して覆瓦状に並ぶ。 画像4 小花。花冠は筒状で5裂し、線形の裂片は長さ7ミリほどで反り返る。冠毛は赤みを帯びるが、頭花内部に隠れて目立たない。
画像51年生の枝の葉は殆ど無柄で互生し長さ約3cm、卵形、葉縁に疎らな鋸歯がある。 画像6 葉柄はないか、あってもごく短い。葉は基部から3脈がはしり、圧毛がある。
画像7 蕾、総苞片の形、葉上面の圧毛と小枝の短毛の様子。 画像8 3年目に枯れる幹は普通はせいぜい直径3ミリほどで、短い毛がある。
画像9 1年目の枝、卵形の葉が互生するが、茎は良く分枝する。 画像10 2年目の枝、節ごとに3〜5枚の葉を束生するが、株の下方で地を這うことが多い。
画像11 茎を切断して地面に置いた画像だが、左から伸びた2年目の枝の先が地面について根を出して新株となり、1年枝が伸びている。 画像12 画像11の新株周辺を位置を変えて近接撮影したもの。右横から伸びてきた枝が新株をつくり、1年枝が上方に伸びている。
画像13 果実には長さ1cmほどの切れ揃った柔らかい冠毛がある。
撮影:(2005.12.30 宮崎市)
画像14 冠毛には、ほのかに紫がかった色が付いている。果実は長さ約4ミリ。  
撮影:(2005.12.30 宮崎市)
2年枝の性質について無責任素人解釈
2年枝の先が伸びて根を出して新株を作ることについては、図鑑等にも記載はないので、このあたりの条件などで偶然そうなったと考えられるが、一株だけでなくいくつかの周辺の株でも同様の例が見られたので、このコウヤボウキにはそのような特質が多少なりともあるのではなかろうか。 
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