FILE NO 240 宮崎と周辺の植物
マンリョウ Ardisia crenata Sims.
万両 ヤブコウジ科
撮影日 2006.12.29
撮影場所 綾町

 赤い実のなる、万両(マンリョウ)、千両(センリョウ)、百両(カラタチバナ)、十両(ヤブコウジ)、有り通し(アリドオシ)の名で組み合わせ、正月の縁起物の鉢植えとするが、近頃見かける「幸福の木」等と比べいかにも欲望そのままの生々しい名前で、江戸後期の人々のお金への執着の強さを表しているのだろうか。
 両という字を当てるようになった文政年間の一万両は、現在の物価等から大雑把に、1両:20万円と換算した場合、20億円になる。
画像1 綾の照葉樹林内、普通は日影に多い常緑小低木の印象だが、ここでは日当たり良好、幹は背丈ほどにも伸びて果実もよく目立つ。
画像2 日当りの悪い杉樹林内の小藪、縁に特徴のある濃緑色の葉と対照的に
        真っ赤な果実、果枝が葉の上に見えるがこれは例外で、普通は葉の下につく。
撮影:(2006.12.30 宮崎市) 
画像3 花は前年の側枝の先に10数個ほどが散房状につくが、
       小さくて殆ど目立たない。 撮影:(2006.8.5 川南町)
画像4 花冠は白色、5深裂して直径8ミリほど。
卵形の裂片は外に反り返り、片面に散らばった腺点が目立つ。 撮影:(2006.8.5 川南町)
画像5 花冠筒部の基部につく、黄に黒っぽい点のあるオシベは5個、メシベはオシベの間から長く突き出る。 撮影:(2006.8.5 川南町)
画像6 照葉樹の藪。周囲の木と競争し、高さが
2m以上にも伸びた株、果枝は長く横に広がる。
撮影:(2006.12.29 綾町) 
画像7 果実は直径5〜6ミリ、先端にメシベの残がいが残り、表面に腺点がある。
撮影:(2006.12.29 綾町)
画像8 周囲の環境によると思われるが、2mを越す高さに伸びた株の幹直径は2.5cmほどある。
撮影:(2006.12.29 綾町)
画像9 幹上部で枝を四方に広げて葉を開き、下方の枝先に果実をつけた一般的な樹形。
撮影:(2006.12.29 綾町)
画像10 葉は濃緑色で厚く長楕円形、葉縁に特徴的な波状鋸歯がある。両面とも無毛。
撮影:(2006.12.30 日南市) 
画像11 葉の下面、細かい明点と疎らな黒褐色の細点がある。縁の歯間に小さな膨らみがある。
撮影:(2006.12.30 日南市)
画像12  葉縁の波状鋸歯間の突起には内腺点があり、膨らみの中に住み着いている
        「ザントモナス」という葉粒菌が空中窒素の固定を行う。またこの菌は種子の中でも
       働いて、発芽と同時に増えることから、果実からの発芽率は高いと言われる。
撮影:(2006.12.30 日南市)
画像13 葉柄や枝にも、植物体全体に腺や点が目立つ。  撮影:(2006.12.30 日南市) 画像14  葉の下面中央脈や葉のヘリにも腺や点が多い。 撮影:(2006.12.30 日南市)
画像15 果実の小果柄や5裂したガクにも腺が目立つ。 果実には1個の種子が入る。
撮影:(2006.12.29 綾町)
画像16 種子は直径5ミリほどの球形、種皮には縦に20本前後の縦の白条があ。
撮影:(2006.1229 綾町)
画像17 幹は灰褐色、枝も葉も関節で繋がっているので、落ちた枝の痕がはっきりと残る。
撮影:(2006.12.29 綾町)
画像18 枝は緑の部分が葉のつく新枝、赤褐色の部分が果実のつく旧年枝で、関節部が太くなっている。  撮影:(2006.12.29 綾町)
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