FILE NO 343 宮崎と周辺の植物
ミズヒキ Antenoron filiforme (Thunb.) Roberty et Vautier
水引 タデ科
撮影日 201010.5
撮影場所 県央部

 
日本全土に普通にあって一般にも良く知られた多年草。中国、インドシナ〜ヒマラヤまで分布しているようで、宮崎でも農地周辺の道脇や林縁・藪等で広く見かける、ごくありふれた多年草。
 中国では金線草といって出血や腰痛の妙薬として古くから知られていたそうだが、何故か日本では万葉集等や以降江戸期までの歌集等に出てこない気がする。
 歌の材料に十分な野趣に満ちた独特のミズヒキの赤い果実は、作者には「秋の七草」にあっても不思議でないほど日本人好みに思えるが、萩等を見ながら興味を持たなかったのだろうか。
 和漢三才図絵には水引草で、大和本草には海根(倭俗ミズヒキ)の名で簡単な記述だけがある。
画像1 小さな花は近寄ってみるととタデ科の花らしい淡紅色が可愛い。
画像2 全景を遠くから写すと特徴のある赤い果実は霞んでただの点に見える。
    撮影:(2002.9.5 県央部
画像3 ミズヒキは大抵群生しているので、天に向かって伸びた40cmほどにも
     長い果穂は大きく曲がって、お互い触れ合ったり支え合ったりしている。
撮影:(2005.10.23 県央部
画像4 花は総状花序に疎らについてごく短い柄がある。外側が紅色のガク(花被)は長さ2ミリほどで平開しないことが多い。 撮影:(2010.10.5 県央部 画像5 ガク(花被)は深く4裂して先は尖る。花被は差し渡し3ミリほどで上側3個の花被だけが紅色。オシベ5個が見える。 撮影:(2010 10.5 県央部
画像6 果実は濃紅色になったガクに包まれて熟し、長く伸びた花柱2本の先は鈎状に曲がる。
撮影:(2010.10.5 県央部
画像7 成長した果実は長さ3ミリ弱の褐色の楕円形だが最後までガクに包まれて見えない。
撮影:(2005.10.23 県央部
画像8 株は花穂の先端まで1m近くにもなり、直立し下半部に葉を互生して疎らに枝を出す。
     茎の高さと同様変化が多いが、40cmほどにも細く伸びた花穂は総状に花をつける。
 撮影:(2010.10.5 県央部
画像9 葉は長さ12cmほどの楕円形で葉柄1.8cmほど、両面に毛があって鋸歯はなく側脈が目立つ。
撮影:(2010.10.5 県央部
画像10 葉上面は全体に白毛が良く目立つ。上面中央には時に黒い班が出ることがある。
撮影:(2010.10.5 県央部
画像11 葉の下面。やや白味があって脈が隆起する。葉の先は急に細まって尖るがかなり変化が多い。
撮影:(2010.10.5 県央部
画像12 葉下面の毛は脈上に目立つが、よく見ると小さな細脈にも白毛が疎らに見える。
撮影:(2010.10.5 県央部
画像13 茶褐色の茎には伏せた白っぽく荒い毛が目立つ。葉柄にも同様の毛が目立つ。
撮影:(2005.10.23 県央部
画像14 果(花)穂の果柄基部にも筒状の托葉鞘が目立つ。 果実のガク下側は白っぽく上下で紅白となる。 撮影:(2005.10.23 県央部
画像15 若い分枝の葉の基部にある筒状の托葉鞘。外面にも縁にも白い長毛がある。
撮影:(2010.10.5 県央部
画像16 茎の分枝部分の托葉鞘。膜状のまま拡大しているが最後まで緩むことはない。
撮影:(2010.10.5 県央部
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