FILE NO 563 宮崎と周辺の植物
ムベ Stauntonia hexaphylla (Thunb.) Decaisne
郁子 アケビ科
撮影日 2006.11.19
撮影場所 日向市

 トキワアケビ(常盤あけび)の名もあるとおり冬になっても葉は落ちることは無く、晩秋の落葉樹を占領したように目立つ濃緑色の掌状複葉の間からぶら下がる赤紫色の果実は、手の届く高さのものは早い者勝ちですぐになくなる。
 砂糖のなかった昔にはこの甘さは貴重なもので、延喜式(庚保4年:967年)に、近江国からムベを宮中に献上していた記録があるという。
 果実は裂開しないので、少なくともアケビよりは衛生的ではあるし、利尿効果もある。
画像1 常緑のつる性木本植物で、この時期巻きついた周囲の落葉樹の枝を緑に見せるが、見方では荒々しい蔓に乗っ取られたともいえる。 宮崎では、ウンベとか、コップという名で呼ばれている。
画像2 果実はアケビと違って、赤紫色に熟しても裂開しない。
撮影:(2005.10.23 都農町)
画像3 株は雌雄同株、新葉の脇に総状花序を伸ばして遠目には黄白色に見える
下向きの花を数個つける。花の内側は淡紅紫色の条が目立つ。
撮影:(2003.4.13 綾町)
画像4 花は花弁のように見える2cm前後のガク片が6個、外側に反り返るように曲がって開く。
撮影:(2005.4.30  鹿児島県霧島町)  
画像5 ガク片は外側の3個は基部の広がった披針形、内側の3個は細い線形。
撮影:(2005.4.30 鹿児島県霧島町)
画像6 雄花。細い内側ガク片は広披針形の外側ガク片よりやや長い。オシベ6個は合着している。
撮影:(2005.4.30 鹿児島県霧島町)
画像7 雌花。外側ガク片はやや大型で、細い内側のガク片より長い。メシベは3個が見える。
撮影:(2003.4.13 綾町)
画像8 葉は掌状複葉、3〜5cmほどの柄の先に普通5枚〜7枚の小葉が広がる。
撮影:(2003.4.13 綾町)
画像9 (普通より長く20cm以上もある)葉柄の先に7枚の少葉が展開した通常の葉形で中央の小葉が大きい。 撮影:(2006.4.15 美郷町) 
画像10 小葉は革質で光沢があり、楕円形で全縁、先は短く尖って、長さ10cmほどになる。
撮影:(2006.4.16 日南市)
画像11 小葉は、少し太くなった基部からやや湾曲気味に伸びる柄の先で、上向きに広がる。
撮影:(2006.4.16 日南市)
画像12 葉の下面は淡緑色で網状脈が全面に広がって美しい模様になる。
撮影:(2006.4.16 日南市)
画像13 葉身につながる葉柄部分はやや太くなって、葉面を太陽に向けるように曲がる。
撮影:(2006.4.16 日南市)
画像14 若い蔓は 白っぽい筋模様のある暗黄緑色で光沢があって無毛。
撮影:(2006.4.16 日南市)
画像15 古くなった蔓は灰褐色、皮目があって表面はごつごつしている。蔓は右巻きに伸びる。
撮影:(2006.11.22 宮崎市)
画像16  熟した果実の色。この果実の大きさは、長さ6,5cm、横幅5cm、最大周囲16cm。
撮影:(2006.11.19 日向市)
画像17 果皮を一部取り除いた果肉の様子。網目状になった仮種皮の繊維で包まれている。
撮影:(2006.11.19 日向市)
画像18 果実を横に切断した場合の果肉の様子。 種子とそれを取り巻く周囲の甘い仮種皮。右半分の中の白い点は果皮内側の内皮破片。
撮影:(2006.11.19 日向市)
画像19 果皮の内側。ガチガチした硬いヤマナシ(山梨)の果肉のような舌触りの悪い内皮で覆われている。 撮影:(2006.11.19  日向市 )
画像20 画像16の果実の種子。色は黒紫色で長さ7ミリほど。種子の数は123個あった。
撮影:(2006.11.19  日向市)
画像21 種子は、長さ7ミリほどで、アケビの種子5ミリに比べてかなり大きい。
撮影:(2006.11.19 日向市)
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