FILE NO 694 宮崎と周辺の植物
ムクノキ Aphananthe aspera a (Thunb.) Planch.
椋の木 ニレ科
撮影日 2014.10.14
撮影場所 西都市

 
新潟~茨城県ライン以南の日本、台湾、朝鮮~中国から東南アジアにかけて分布するという落葉高木で、宮崎でも日当たりの良い丘陵等に普通に生えている。
 エノキと混同されることが多く、「ムクが成っても木は榎」の諺もあるほどで、遠くからではエノキと区別しにくいが、違いはかなり大きい。
 種小名「aspera」は、粗面の、ざらざらするの意味で、葉に微細な伏毛が密生していることによる。
 和名抄に出てくるほど古くから知られている樹で、葉はべっこうの最終研磨にも利用されてきたという。
画像1 丸い果実はこの時期から黒く熟していびつに凹み始める
画像2 枝の一部では葉が落ちて、枝先に残った果実の中には黒く熟して
     枯れて水分が無くなったように凹んで、食べ頃になったものもある
 撮影:(2014.10.14  西都市)
 画像3 花は雌雄同株で、たくさん見える淡黄色がオバナ、枝の先端近くで僅かに
      小さな新葉のように見えるのがメバナだが、およそ花のようには見えない。
撮影:(2010.4.23  都農町)
 
画像4 川の堤防に沿って生えた木々の間に見える高さ10m近いムクノキ。
撮影:(2014.10.14 西都市
画像5 オバナは新枝の下部に集散花序となって賑やかにつく。メバナは枝先端の葉腋に1~2個咲くが分かりにくい。 
撮影:(2010.4.23  都農町)
画像6 (オバナ)ガク片が5,、同数のオシベが5で、開花時の大きさは差し渡し約5ミリ。左上に開花寸前の花の葯5が見える。 
撮影:(2010.4.23  都農町)
画像7 葉は互生する。枝は細く折れやすい。遠目にはエノキに似ている。
 撮影:(2014.10.14  西都市
画像8 (葉の上面)。葉は長楕円形で、長さ1cmほどの柄も入れて最大10cmになる。脈は斜めに並行して鋸歯に達する。撮影:(2014.10.14  西都市) 画像9 側脈は真っ直ぐ伸びて鋸歯に達する。良く似たエノキは側脈が葉縁の近くで大きく曲がって鋸歯に達しない。撮影:(2014.10.14  西都市)
画像10 長さ約1cmの葉柄にも微細な剛毛が密生する。葉の基部は左右不相称になる。
撮影:(2014.10.14  西都市)
画像11 葉上面の拡大画像。微細な剛毛が基部から先端方向に傾いて密生している。
撮影:(2014.10.14  西都市)
画像12 葉の下面はやや淡緑色で同色の脈が整然と隆起して目立つ。撮影:(2014.10.14  西都市) 画像13 葉の下面拡大画像。上面と同様に微細な剛毛がある。撮影:(2014.10.14  西都市)
 
画像14 若い枝は小さな丸い皮目が多い。手で簡単に折れるほど脆い。撮影:(2010.4.23  都農町)   画像15 大きくなると樹皮は淡灰褐色で縦に浅い溝状の筋が出来る。撮影:(2014.10.14  西都市)
 
画像16 老木では樹皮が縦に薄く剝がれ落ちてくる。
撮影:(2014.10.14  西都市)
 
  画像17 (参考)似たような大きさのエノキの樹皮。
撮影:(2014.10.14  西都市)
 
 
 画像18 未熟な緑色の果実。直径12ミリほどの球形で表面には葉と同様の伏毛がある。
撮影:(2014.10.14  西都市)
  画像19 熟した果実は黒色で萎んだような形になるが実はまだ伏毛は残っている。
撮影:(2014.10.14  西都市)
 
 画像20 熟した果実を齧って見た画像で、中の種子と果皮の間にある
      僅かな量の果肉が甘い。古事記にも「むくのみ」が出てくる。
撮影:(2014.10.14  西都市)
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