FILE NO 72 宮崎と周辺の植物
ナガバノイシモチソウ Drosera indica L.
長葉の石持草 モウセンゴケ科
撮影日 2004.7.25
撮影場所 県中部

 和名の長葉の石持草は、葉の腺毛に強い粘着力があって、この草を抜いて地面に触れると小石がついてくるので名付けられたという「石持ち草」ににているが、こちらの葉は長いことによる。
 別に砂持草、蠅取草の名もあるようだ。  腺毛から粘着性物質、消化酵素等を分泌して近づいてきた昆虫等を腺毛で捕まえ、溶かして養分とする食虫植物で、関東以南数県の湿地に点在、西日本では宮崎県が唯一の自生地となっている。
 宮崎県でもごく限られた場所で白い花のナガバノイシモチソウが見られるが、他県では淡紅色のものもある。
 湿地の埋め立て、開発等で生育環境が消滅して、環境庁のレッドデータブックで絶滅危惧1類のBにランク付けされており、各地で保護活動が行われている。 
画像1 茎は傾斜しているが大きなもので高さ20cmほど、腺毛の目立つ葉は互生し最長で7cmほどになる。
像2 花序は葉に対生して付き、小花柄は長さ5ミリ程度で全体的に短腺毛がある。  画像3 葉は細い線形で密生した腺毛で丸く見える、先は細く尖ってまばらになった長い腺毛が目立つ。 
画像4 花弁は5個で直径1cmほど、オシベは5個、めしべの花柱は3個だが、それぞれが深く2裂して6本あるように見える。  画像5 葉に密生した腺毛は葉面とほぼ直角に付いて先がボール状に丸くなる。腺毛の長さも加えると葉の幅は差し渡し3ミリほどになる。  
画像6 若い葉は先が巻き込んだように丸まっているが、小さな腺毛はもう生えている。 画像7 茎にも短腺毛がある。
  葉は、葉柄と葉身の境が多くの草の葉のように明確でなく、全体で長さ7cmほどの葉の中で、腺毛がない部分約1cmが葉柄、長い腺毛のあるところ部分が葉身ということらしい。 
画像8 地面の生え際の様子。茎は自立して立ち上がる。  画像9 試しに傍にある草の葉に腺毛葉を触れさせてみると、このようになり、粘着力の強さが分かる。葉同志がくっついて傾いている株もある。
画像10 まだ動いているが逃げ出せないでいる昆虫。  画像11 大きめの虫を捕まえて葉が大きく曲がって包み込もうとしている。腺毛は通常は葉面に直角に付いているが、獲物から少し離れた腺毛も曲がっている。 
画像12 獲物を完全に包み込んでしまった葉。獲物周辺の腺毛は総動員されている。  画像13 かなり大きな蛾も羽の一部が腺毛に引っかかって動けない。
画像14 多くの株の間では、大小さまざまな蝶が羽だけを残して散らばっている。 画像15 萼は披針形で先は尖り、短腺毛が
ある。
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