FILE NO 386 宮崎と周辺の植物
ニシキウツギ Weigela decora (Nakai) Nakai
二色空木 スイカズラ科
撮影日 2008.6.21
撮影場所 霧島山地

 
始め白かった花が紅色に変り、1本の樹で同時に紅白の花が見られるから2色空木で、宮城県以西、四国〜九州に分布しているそうだが、中には初めから花色が紅色の品種があってベニバナニシキウツギと呼ばれ、九州では大分県にあるらしい。
 霧島のニシキウツギも樹によって花色の濃淡は違うが初めから紅色で、ベニバナニシキウツギに近いのかも知れない。
 ここえびの高原はススキがエビ色に染まることで良く知られているが、若しかしたらこれに関係があるのかも知れない。
 県内では県北とこの霧島山地に自生するようで、県内の低地で広く目につくのは「ツクシヤブウツギ」で、この花も2色になる。
画像1 花は枝先と葉腋に2〜3個ついて、淡紅色の花冠の内側は白っぽい。   種小名「decora」は美しいの意
画像2 枝が密に出ている高さ2.5mほどの株だがかなりの年数が感じられる。
 明るい紅色の花の中で一部白っぽいのは花冠内部の白さの反映。
 撮影:(2010.6.22 県西 部)
画像3 花冠は長さ約3.5cm、ガク裂片の先端過ぎ付近からやや急に膨らんで緩やかに太くなる。
 花冠は5裂して8ミリほど切れ込むが色や形は変化が多い。ガク片や花冠の外部は無毛 
撮影:(2008.6.22 県西部)
画像4 花冠開口部は幅2cmほどで花冠内部は外側より白っぽい。丸くなったメシベの白い柱頭はオシベ5個よりやや長い。 撮影:(2009.6.21 県西部) 画像5 深く5裂したガク裂片は長短あるが長さ約1.2cmで殆ど無毛。ガク下方にある長さ約1.5cmほどの子房は花柄のよう。撮影:(2009.6.21 県西部)
画像6 若い花冠内部。メシベの丸い柱頭はほぼ開いた花冠の縁の高さ、オシベの葯は未だ堅い。    撮影:(2009.6.21 県西部) 画像7 オシベが熟して先端で丁字状についた葯の花粉が見える。花冠内部は外部より紅が薄い。     撮影:(2008.6.22 県西部)
画像8 対生する葉は楕円形で先端は急に細くなって尖り、基部は広いくさび形で縁には
     基部を除いて遠くからでも分かる明瞭な鋸歯がある。陽に透かすと良く見える脈は
      6〜7本が葉縁に向かって湾曲し小さな網目を作って消える。葉柄は長さ5ミリほど。
撮影:(2009.6.21 県西部)
画像9 葉の上面脈上には微細な毛が散生する。   撮影:(2009.6.21 県西部) 画像10 葉の先端は急に細くなって突き出て尖る。 撮影:(2008.7.19 県西部)
画像11 葉の下面はやや淡緑色でほぼ左右対称の脈が隆起する。 撮影:(2009.6.21 県西部) 画像12 下面の中央脈上には白い縮毛が密生している。 撮影:(2005.7.3 県西部)
画像13 若い枝は普通無毛だが、稜に沿って白毛が出る枝もある。撮影:(2008.6.22 県西部) 画像14 新しい枝は赤くなる場合が多く遠くからでも目立つ。撮影:(2009.6.21 県西部)
画像15 若い枝は普通茶褐色で丸く膨れた白っぽい皮目が点在する。 撮影:(2008.7.19 県西部) 画像16 樹皮は灰褐色で縦にひび割れてしわ状になる。 撮影:(2005.7.3 県西部)
画像17 枝は徐々に赤みが抜けて黄色味が強くなり、縦しわが出てくる。 撮影:(2009.7.19 県西部) 画像18 古木の樹皮。明るい灰褐色にで縦に深い裂け目ができる。撮影:(2009.6.21 県西部)
画像19 若い果実。基部から先端に向けて少し曲がりながら細くなる長さ2.3cmほどの円柱形。 
撮影:(2009.9.13 県西部)
画像20 前年の枯れ残った果実。熟すと花柱はそのままで中軸を残して2裂する。
撮影:(2009.6.21 県西部)
画像21 (色変化の多い花冠) 変化が大きい花色の中で桃色が強い花冠。撮影:(2008.6.22 県西部) 画像22 (色変化の多い花冠) 花色の中で比較的濃い紅色の花冠。撮影:(2009.6.21 県西部)
* 図鑑等の解説ではニシキウツギは花冠が白から紅色に変化し、花冠の色が内側の方が外側よりも紅が濃い
  となっている。大分にあるというベニバナニシキウツギは花が濃紅色となっており、こちらの花は濃淡は
  あるにせよ淡紅色が多くその違いは明確で、いずれも素人には難しい問題だが、葉やガクの毛などの特徴を
  総合的に考えるとニシキウツギの変異の範囲内として考えることが至当ということになるようだ。
  (なお、此処のニシキウツギの見方については県内で植物を研究している専門家にも聞いて参考にした。)
トップへ 科名リストへ