FILE NO 104 宮崎と周辺の植物
sen
ノビル Allium grayi Regel
野蒜 ユリ
撮影日 2011.5.14
撮影場所 宮崎市

 
北海道~琉球、台湾、朝鮮半島~中国に分布する多年草で、日本では春の山菜として広く知られているが、中国では鱗茎を下痢や胃炎の効能に利用することが専らと聞く。
 古事記の応神天皇は、日向の諸県から髪長比賣を喚し上げて野蒜摘みの歌を歌っているが、食べ方に関してはその当時も今もそれほど変わり無いだろうと思われる。
 花は、花茎の先に出来た珠芽がゆっくりと時間をかけて熟し始める頃、珠芽の間から伸び出した花柄の先に開く
画像1 珠芽が露出後、半月以上も経って漸く花柄が伸び始める。 全草無毛、珠芽や鱗茎で増える。
画像2 高さ50~80cmまで立ち上がった花茎の先、花序は初め上向きに
     尖った鳥の嘴状の長さ2cmほどの膜状の苞葉に包まれている。
撮影:(2009.4.19
 宮崎市)
画像3 苞葉はやがて開いて中から珠芽(むかご)が出てくるが、
      若い苞葉を破っても中にはもう珠芽(むかご)ができている。
撮影:(2010.4.20
 宮崎市)
画像4 珠芽(むかご)が露出して2週間近く経つと、やや黒っぽくなった
    珠芽(むかご)の間から花柄が8ミリほど伸びてやがて開花する。
撮影:(2011.5.13
 宮崎市)
画像5 花は白に僅か紅紫色ががついて平開する。オシベ6は長さ約3ミリの花被片より長い。 撮影:(2011.5.10  宮崎市) 画像6 花被片6はヒトデ型に開いて、下が広くなった花糸基部を緑色のメシベ花盤が留める形になる。撮影:(2011.5.10  宮崎市)
画像7 苞葉を少し残して露出しているむかご、大きさ・形はさまざまだが、横幅3.5ミリほど。 撮影:(2003.5.5  宮崎市) 画像8 珠芽(むかご)には、茎頂についたまま発芽するものも珍しくない。
撮影:(2003.5.5
 宮崎市)
画像9 茎頂についたまま全部の珠芽が発芽した(珠芽の尖った先端部から)もの。
撮影:(2009.4.18
 宮崎市)
画像10 直径3ミリの珠芽を横に切断した画像。表の膜層の内部は2層になっている。
撮影:(2011.5.10
 宮崎市)
画像11 下部の草形。基部のすぐ上から2~4本の葉が出るが大きく傾く。
撮影:(2011.5.12  宮崎市) 
画像12 生育地の環境で、葉は30cmほどに、花茎先端までは80cm近くまでなる株もある。撮影:(2010.4.6  宮崎市)  画像13 花茎先端が未だ苞葉に包まれた株の全形、葉は2~3本で鱗茎からの高さは45cmほど。撮影:(2011.5.10  宮崎市) 
画像14 葉は線形でネギの葉に似るが、上面には溝ができる。 撮影:(2011.5.12  宮崎市)  画像15 葉は薄くて中空、両端が細く尖った三角状になる。 撮影:(2011.5.12  宮崎市) 
画像16 鱗茎は大きくなると直径1.5cmほどの球形になるが、歪に変形した形も多い。
撮影:(2011.5.16
 宮崎市) 
画像17 株の根を掘ると周囲に多くの小鱗茎があり、鱗茎でも増えることが判る。
撮影:(2011.5.16
 宮崎市) 
(ムカゴの味) ノビルの鱗茎は生のまま、或いは若い茎葉ともに酢みそ和え等で春の味として楽しむことが多いが、珠芽(むかご)の方は山菜の料理法に見当たらないようだ。試しに黒っぽくなったむかごをフライパンで軽く炙って食べてみると、苦み等は無いがいかにも不味いとしか表現できない味で、さらに味付けして挑戦してみようという気にはならなかった。
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