FILE NO 607 宮崎と周辺の植物
ノシラン Ophiopogon jaburan (Kunth) Lodd.
のし蘭 ユリ科
撮影日 2008.8.15
撮影場所 綾町

 紀伊半島以西、琉球、済州島まで分布するという海に近い林中に生える多年草。
 宮崎では、日南海岸に沿った海沿い林から標高の低い山麓まであちことで見られる。
 種小名が「jaburan」となっているが、勿論日本名ヤブランを間違えてつけたらしい。
 牧野富太郎の植物図鑑に載っていないのも不思議だが、そのせいか和名の由来は不詳で、熨蘭と書いて花の様子説、花軸の形説、葉の形説などがあるが、どれも説得力に欠ける気がする。
画像1 林縁の道路山側斜面で、比較的明るい場所に咲いた花。
    花茎の先に細長く開いた花序は熨斗の形にも見える。 
 
画像2 花茎は出てないが、基部から長く伸びた葉は、株の中心部から出た
      方が長く、大きく下方に垂れ下がって、1m以上ある葉も珍しくない。
撮影:(2008.8.15 綾町)
画像3 果実のように見えるが、種子が露出したまま成長したもの。
       色の表現は難しいが、敢えて言えば、コバルトブルーになろうか。
撮影:(2006.2.11 国富町)
画像4 開花直前の花序。5cm近くもある披針形の苞に抱かれた蕾が飛び出しかかっている。
撮影:(2008.8.15 綾町)
画像5 斜めに延びた葉の間から倒れるように伸びた花序軸は長さ20cmほどある。。
 撮影:(2007.8.5 串間市)
画像6 花は総状について、苞の腋から6~8個が出て下向きに花を咲かせ,混みあって見える。
撮影:(2007.8.5 串間市 )
画像7 平開した花被の下方は約2cm、花柄との接点に関節があり、花はそこから落ちる。
撮影:(2008.8.15 高千穂町)
画像8 花は広披針形の花被片6で差し渡し1.5cm、メシベを黄色い6個の
         オシベ葯が囲んでいる。花被片はちょっと外側に反って小さな歯が出る。
撮影:(2008.8.15 綾町)
画像9 花柄の関節部の様子。
撮影:(2008.8.15 綾町)
画像10 花茎上部。扁平で縁には翼がある。
撮影:(2008.8.15 綾町)
画像11 葉は全て根生し、革質で両面無毛。
根茎は地中で連結し、地上でひとかたまりの株をつくる。 撮影:(2008.8.15 綾町)
画像12 葉の上面。線形で硬く光沢があり、幅は基部から4分の3ほどが最も広い(約1.5cm)。
撮影:(2008.8.15 綾町)
画像13 葉の下面。緑と白の縞筋が通り、下部では半円状に膨らむ。 撮影:(2008.8.17 綾町) 画像14 葉先は次第に細まって鈍く尖る。
撮影:(2008.8.15 綾町)
画像15 下向きに下がった果序軸についた果実のような種子。  撮影:(2006.2.11 国富町) 画像16 液果状の種子は長さ1cmほどの倒卵形で葉陰に隠れる。 撮影:(2006.2.11 国富町)
 (果実と種子) この仲間は、子房の中に包まれた胚珠(将来種子になるもの)6個が、普通はそのまま成長するところだが、子房の壁が早い時期に破れてしまって胚珠が外に飛び出したまま成長する。
  6個全部が成長することはなく、その内育ちのよいものだけが色鮮やかな種子に成長する。
野草図鑑(野草図鑑2長田武正著、長田喜美子写真、1984年、保育社)から引用
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