FILE NO 690 宮崎と周辺の植物
オニヤブソテツ Cyrtomium falcatum (L.fil.) C.Presl
鬼藪蘇鉄 オシダ科
撮影日 2014.2.11
撮影場所 串間市

  北海道南部~琉球に至る海岸地や沿海林等、また台湾、中国東南部~インド辺りにも分布するという常緑性シダで、宮崎では海岸岩場、沿海林やその周辺林縁等に普通に自生している。
  鬼とついているが、トゲがあって荒っぽいという譯ではなく、潮風に吹かれて逞しく大きく育った印象で、葉の光沢が著しい。
 学名の「falcatum」は鎌状の意味で、側羽片が鎌のように曲がっていることに因る。
 似たものもあるが、海岸近くで光沢のある厚い葉は独特だ。
画像1 波しぶきがかかるような浜脇の茂み、葉長約70cmほどの株 ヤブソテツを参照
画像2 葉の全形。側羽片は15対、葉柄共に長さ60cmほどで、上側から
     見ると側羽片が重なって見えるが実際は間隔がある(画像3参照)
     撮影:(2014.2.11 串間市) 
画像3 葉の下面。側羽片の全面にソーラス(胞子嚢群)がついているが、
     見えにくい。葉軸の側羽片の間隔は上方に従って狭くなっている。
撮影:(2014.2.11 串間市)  
 
画像4 頂羽片。鋸歯が左右不均衡に大きく切れ込んでいる。下面ソーラスが点状突起となって浮いている。 撮影:(2014.2.11 串間市)     画像5 側羽片。葉の大きさ幅は変化し、長いのは15cにもなる。尾状に細くなる先端部には鋸歯が出ない。 撮影:(2014.2.11 串間市)    
 
画像6 ソーラスの無い葉の下面。脈はほぼ平行に出て細脈が網目を作る。葉の基部は中軸側に耳垂が出る。 撮影:(2014.2.11 串間市)    画像7 葉の基部。側羽片の柄は長さ5ミリほどと短い。中軸には不規則な鱗片がつく。
撮影:(2014.2.11 串間市)  
画像8 画像3の一部拡大画像。ソーラスは下面の全体に散らばってつく。
   この葉は頂羽片先端までが90cm、その内葉柄の長さが35cm
撮影:(2014.2.11 串間市)    
 
画像9 ソーラスは網目の遊離脈につくと言われるが、微細な脈が不鮮明なので不統一に見える。
撮影:(2014.2.11 串間市)
画像10 ソーラスの(白っぽい包膜)の大きさは1ミリ強、中心部は褐色、縁には鋸歯がある。
撮影:(2014.2.11 串間市)
 
画像11 最下の側羽片付近の葉柄には張り付いたような鱗片が疎らについている。
撮影:(2014.2.11 串間市) 
  画像12 葉柄下部の鱗片。落ちずに残った鱗片は中途半端に張り付いているが簡単には取れない。
撮影:(2014.2.11 串間市) 
 
画像13 葉柄基部の鱗片は先の尖った褐色の卵状披針形で、葉柄が見えないほど多くつく。
撮影:(2014.2.11 串間市) 
  画像14 未だ展開しない若い葉。葉柄が隠れない程度に柔らかい鱗片がついている。
撮影:(2014.2.11 串間市) 
 画像15 根茎は短く斜上して塊状にまとまる。(泥を水で洗い流した状態)。
撮影:(2014.2.11 串間市)
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