FILE NO 279 宮崎と周辺の植物
リンボク Prunus spinulosa Sieb. et Zucc.
橉木 バラ
撮影日 2008.12.6
撮影場所 宮崎市

 
福島~福井県以西琉球までの日本と台湾にもあるとされる木で、宮崎県では林内の谷近くで見かけることが多い。
 学名の「spinulosa」は葉の特徴通り(やや刺のある)を意味しているという。
 リンボクといえば太古石炭紀に繁茂していたシダを連想するが、それとは無関係の日本固有とも言えるバラ科の常緑樹。
 「橉木」は誤って充てた名で、江戸の植木屋に遡る本もあるようだが、諸橋の大漢和辞典で「橉木」を引くと木の名とあるだけでどんな木かの詳細はない。ただ灰を使うことに関係するらしいが。
 日本では材は器具、樹皮は紙の染めに利用して薬袋を作るなどに活用されて多くの呼び名がある。
画像1 未熟な果実でまだ緑色。葉には紅葉が混じり小枝はサクラに似る。
画像2 花は今年枝の先の方についた葉の葉腋から伸びた総状の花序となる。
   花序の下方に葉はつかない。葉をつけた小枝の感じはシイに似る。
    撮影:(2008.10.4 宮崎市
画像3 照葉樹林内の谷に架かった小さな橋の上から見た高さ10mほどの樹の全景。
     多くの場合、樹は谷脇の傾斜地にあって斜めに伸びるので枝葉は均整を欠く。
撮影:(2011.1.11 日南市
画像4 花序は長さ7~8cmほどで、やや隙間のあるブラシ状に花をつける。オシベの白い花糸が良く目立つ。 撮影:(2008.10.4 宮崎市 画像5 花は差し渡し8ミリほどで花弁5はやや反り返る。オシベ多数は花柱を取り囲むように立ち上がる。 撮影:(2008.10.4 宮崎市
画像6 紫褐色の小枝に互生した革質の葉は感じがシイやカシに似ている。
    尾状に突き出た葉の先端が独得の形で丸みを帯びるのも特徴の1つ。
撮影:(2008.10.4 宮崎市
画像7 葉は長さ10cmほどで葉柄約5~6ミリ。上面は濃緑色で光沢があり無毛。鋸歯は若い葉に多いが徐々に減り老木では無いことも多い。 撮影:(2008.10.4 宮崎市 画像8 鋸歯は葉の上半部に出て細く尖った針状になって出る。葉の周囲は全体が半透明の狭い縁どりになる。 撮影:(2008.10.4 宮崎市
画像9 葉の縁は上下に捩れて波状になるのが最大の特徴で遠くからでも分かる。撮影:(2011.1.11 宮崎市 画像10 葉縁の鋸歯の出方と間隔。尾状に突き出した先端部に鋸歯は出ない。 撮影:(2008.10.4 宮崎市
画像11 葉の下面は全体がやや黄みを帯びた淡緑色で、葉柄の白さが目立つ。
         中央脈は太いが。側脈や細脈は独特の緑色の線模様となり膨らまない。
撮影:(2011.1.11 日南市
画像12 葉柄の右上部に小さな腺体(線点)が1個見える。 葉身基部にあると書いた図鑑もある。
撮影:(2011.1.11 日南市
画像13 葉身の基部についた2個の(葉のヘリの左右についた小さな黄色の膨らみ)腺体(腺点)。
撮影:(2011.1.11 日南市
画像14 枝は淡赤褐色で縦の皮目が散らばってサクラに似ている。 撮影:(2011.1.11 日南市 画像15 樹幹は、若い時は平滑だが古くなると樹皮に横皺ができてくる。撮影:(2011.1.11 日南市
画像16 果実をつけた枝の様子。特徴のある皺状の葉の中に紅葉した葉が混じる。 撮影:(2007.3.3 宮崎市 画像17 果実は未だ未熟。長さ約1cmの長楕円形で3ミリほどの長さの果柄がある。 撮影:(2007.3.3 宮崎市
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