FILE NO 264 宮崎と周辺の植物
リュウビンタイ Angiopteris lygodiifolia Rosenst..
龍鱗たい リュウビンタイ科
撮影日 2007.12.30
撮影場所 宮崎市内海

 リュウビンタイは、 一般的には、牧野図鑑による「龍鱗たい」の字と考えられ、葉柄基部の托葉の形状からきているといわれている。
 リュウビンタイの仲間は、他の多くのシダと違って石炭紀以来の形質を引き継いで、真嚢性の胞子嚢を持っているといわれ、前記性質から一般的なシダの種の分類に馴染まないことや、大型のため全体標本が少ないことなどから、研究が遅れているという。
 伊豆諸島以西に自生するらしいが、宮崎では県中部以南の海近くの暗い林内谷わきで見られ、フラッシュ光での画像となる。 
画像1 すぐ左が小さな川になった杉山。大小の株が見られる
林内で特に大きな株は、根茎から最長枝先まで3mを超えている。 
龍鱗については、画像2の他に画像18も参照されたい。
画像2 葉柄基部の托葉状の状態から「龍鱗」となったのではないか、
  「たい」は不明と牧野図鑑に記載されている托葉の様子。
  懐中電灯の光で撮影したので実物どおりの色ではないが、
    実態とそれほど大きな違いはなく、現地の状況を反映してる。
撮影:(2007.12.2 宮崎市加江田)
画像3 大きく湾曲した葉身を正面から見た。先端は左右に広がる。
    葉柄の基部から測ったら先端まで3.1mあった。最大幅1m。
撮影:(2007.12.23  宮崎市内海)
画像4 左右4羽片とまだ小さな葉だが、中軸が多少稲妻形に浅く曲がる特徴は見える。
撮影:(2007.1.20 宮崎市加江田)
画像5 若い葉の全体。2回羽状複葉で大きいものは羽片が11対、右辺の幅20cmにもなる。
撮影:(2007.7.29 宮崎市加江田)
画像6 短柄のある深緑色の小羽片は30対近くも出て、浅く鋭い鋸歯が先端まである。
撮影:(2001.10.14 宮崎市加江田)  
画像7 葉の下面は淡緑色で葉縁の胞子嚢が目だつ。小羽片は最大長14cmほどで幅1.2cmほど。
撮影:(2007.7.29 宮崎市加江田)
画像8 小羽片は柄の長さ長さ約3ミリ、小さな鱗片状が上面にあり、葉縁の鋸歯は不規則で先は鋭く尖る。 撮影:(2007.7.29 宮崎市加江田) 画像9 葉の下面は淡緑色で脈は分岐しないもの、1回分岐するものが葉縁で胞子嚢群に繋がる。
撮影:(2007.12.16 宮崎市加江田)
画像10 小羽片の先端まで鋭い鋸歯があるのが特徴。 撮影:(2007.12.16 宮崎市加江田) 画像11 葉柄の基部は目だって膨れて軸につく。
撮影:((2007.12.30 宮崎市内海)
画像12 各小脈の間で、鋸歯の切れ目から胞子嚢群の間を通る細い偽脈が途中で消滅するのが特徴。  撮影:(2007.12.30 宮崎市内海) 画像13 胞子嚢は真嚢性(胞子嚢は複数の表層細胞からなる)、10個ほどの群は楕円形で長さ1.2ミリ。 撮影:(2007.12.16 宮崎市加江田)
画像14 葉柄下部の鱗片、線状披針形だが、圧着して張り付いている。
撮影:(2007.12.30 宮崎市内海)
画像15 葉柄中部付近の鱗片の様子。白い線形模様は、表皮下の細胞間隙に当たるという。
撮影:(2007.12.30 宮崎市内海)
画像16 直径1.8cmほどの葉柄の断面。太い繊維が、中央、中間、外縁部で円形になっている。
撮影:(2007.12.17 宮崎市加江田)
画像17 新葉が展開する様子。
撮影:(2007.5.18 北郷町猪八重)
画像18  陽光下で撮った葉柄基部の、幅9.5cmほどの托葉状肥厚部の基盤。
       高さ約8cmほどで周囲は切れ込む。下部の白色部は根茎に繋がる部分。
作者は、この基盤状が龍の鱗に見えることに注目したい。
撮影:(2007.12.16 宮崎市加江田)
画像19 画像18の側面。托葉状肥厚部が平板状の片面に付着している。
撮影:(2007.12.16 宮崎市加江田)
画像20 画像18の反対面。葉柄基部は龍鱗状平板に接して托葉状肥厚部分に包まれている。
撮影:(2007.12.16 宮崎市)
画像21 地表に見える根茎。斜上した葉柄の基部周辺に黒っぽい托葉が5個で全体は差し渡し30cmほど、中央にはまだ開いてない托葉が見える。
撮影:(2007.12.30 宮崎市内海)
画像22 偶然目に留まった石に根を張った株。まだ若い株だが、根茎の様子や根茎の下部から伸びた多くの不定根が判る。
撮影:(2007.12.30 宮崎市内海)
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