FILE NO 112 宮崎と周辺の植物
シギンカラマツ Thalictrum actaefolium Sieb et Zucc.
紫銀唐松 キンポウゲ科
撮影日 2004.8.7
撮影場所 県内山地

 関東地方南部〜四国、九州に分布するが、宮崎では特定山地の限られた場所に自生している。
 照葉樹の林床で木漏れ日のあたるような所に、高いもので70cmほどになり、まとまって生えている。
  シギンカラマツは、本州の一部に生える「シキンカラマツ」に似て花の色が白いことから、紫錦に対して紫銀だという意味は頷けるが、もう一つ、熟した果実がきれいな紫色をしていて、花が白いからという理由があっても良いのではなかろうか。
 今回、現地で何回か果実の撮影を繰り返している内に、初めて果実が美しい紫色に熟すことを知って、紫銀唐松の紫の字に大きな意味がありそうな気がしてきた。
 宮崎ではカラマツソウの種類も多く、まだ沢山の自然が残っていることの証明でもあるので、野生の状態でこそ美しいこれらの野草をこのまま現地に残したいものだ。
画像1 全体に毛はなく、枝はまばらに出て葉は互生する。花と、花後の白い数個の未熟な果実が見える。 画像はすべて同じ場所で撮影したもの。
画像2 花序は茎頂に複散房状につき、5ミリほどの花柄の先に直径1cmほどの花をつける。 画像3 花弁はなく、4個の萼片は広楕円形で花が開くと落ちるが、色は紫がかって鮮やか。 
画像4 雄しべは多く、花糸も葯も白色で葯隔は突出しない。柱頭は中心部について低い。 画像5 花糸の先は棍棒状になって葯より少し太い。茎、枝に稜がある。(撮影2004.8.15)
画像6 熟した果実、花が済んだ後の果実は花の色と似て白いが、成熟すると鮮やかな紫になる。  (撮影2004.8.15)  画像7 果実は2〜5個、長さ3ミリほどの紡錘形で柄はない。縦の稜が10個あって尖った花柱の先はフック状になった柱頭がつく。
(撮影2004.8.15)
画像8 茎葉はまばらで、3回3出複葉。
小葉は長さ2〜6cmほどで幅の方が広い。
基部は心形〜切形で大まかな鋸歯がある。
画像9 葉の裏は緑白を帯びてはっきりとした脈が出る。(撮影2004.7.17)
画像10 托葉の様子。(撮影2004.8.7)
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