FILE NO 89 宮崎と周辺の植物
ツクシショウジョウバカマ Heloniopsis orientalis (Thumb.) C.Tanaka var. breviscapa (Maxim.) Ohwi
筑紫猩々袴 ユリ科
撮影日 2003.4.6
撮影場所 西米良村
宮崎にショウジョウバカマは自生しないといわれているので見たことはないが、ツクシショウジョウバカマは比較的低い山の林縁から山地にまで広範に見られる。
 日当たりの悪い林道脇の傾斜地や薄暗い山道など、周囲の草木が芽を伸ばし始める前に、わずかな春の気配を感じ取って花茎を伸ばして花をつける。花は小さいわりには派手さがあって目立つ。
 ツクシショウジョウバカマはショウジョウバカマの変種で文字通り九州にだけ自生しているが、猩々に由来すると言われるほど花の赤みが強い母種に比べると、猩々というにはほど遠い色で、よく見掛ける僅かにピンクがかった花〜少し濃い目の花、きれいな白い花までさまざまな花色がある。
 花はショウジョウバカマの中にも花が白いものがあり名前と実体が一致せず分かりにくい。
 日本産のショウジョウバカマ属(Heloniopsis)3種の内、ショウジョウバカマの変種にシロバナショウジョウバカマとツクシショウジョウバカマがあるが、、中にはこの2変種をまとめてコチョウショウジョウバカマ(胡蝶猩々袴)に整理した学者もいるとい。ツンベルグはツクシショウジョウバカマの和名を「kotjo]としていたという。
画像1 年中湿り気のある山中の林道脇傾斜地、多少日の当る環境でいち早く開花した株。     (追加)ツクショウジョウバカマ(画像14)とショウジョウバカマ(画像15)の違いが分かる画像を掲載した。
画像2 花茎は途中で1〜2回枝を出して数えられるほどの花をつける。
       やや紫色を帯びた花茎は高くて30cmを超える程度で、軟毛がある。
 撮影:(2009.2.28 日南市)
画像3 花は花茎の先に総状花序となって一方向に片寄って横向きにつく。
    花被片は6で長さ1.5cmほど、花柄は約7〜8ミリで縦の稜がある。
花柄撮影:(2008.3.22 日南市)

画像4 花はメシベ先熟性でまずメシベが花被片の外に伸びてくる。 白花は花柱も花糸も白い。   撮影:(2008.3.22 日南市) 画像5 やや赤みの強い花。花序の軸は黒紫色でメシベ花柱は特に赤色が目立つ。           撮影:(2003.4.6 西米良村)
画像6 ショウジョウバカマとの違いの1つは、花被片基部と花柄との境に膨らみがないこととされている。 撮影:(2008.3.22  日南市) 画像7 オシベの熟期。花被片は長さ約1.5cm,幅3.5ミリほど、この種の丸っこい先端の特徴が明確に出ている。  撮影:(2004.4.17  宮崎市)
画像8 葉はロゼット状に出て、花の時期に新葉が伸びる。先端近くが最大幅で葉先は急に尖り、上下にしわが寄る。 撮影:(2008.3.22 日南市) 画像9 葉は両面無毛、葉の大きさは変化するが普通長さ15cm、幅2.5cmほどで縁には細かい鋸歯が出る。撮影:(2008.3.22  日南市)
画像10 葉の下面は白身を帯びて先端に集まる脈が見える。 撮影:(2008.3.22 日南市) 画像11 この画像の花茎は約15cm。花後に3倍ほどにも伸びる。 撮影:(2008.3.22 日南市)
画像12  完全に熟した花。長く突きでたメシベとオシベ6個が見える。花色、花被片の形状や大きさは様々に変化する。 撮影:(2004.4.17 宮崎市) 画像13 未熟果。果実は深く3つに切れ込む。花被片は黄緑色になって後まで残る。
撮影:(2004.5.8 小林市)
画像14 (ツクシショウジョウバカマ)花被片の基部が花柄に繋がる部分の膨らみがない。
撮影:(2009.3.26 県北部)
画像15 (ショウジョウバカマ)。花被片基部が膨らんで花柄に接続するので、水が溜まっている。
撮影:(2010.4.16 岐阜県下呂市)
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