FILE NO 688 宮崎と周辺の植物
ツチグリ Potentilla discalor Bunge
土栗 バラ科
撮影日 2014.4.12
撮影場所 県央部

  愛知県~鹿児島県の大隅町辺りまでと朝鮮~中国北部にまで分布するという多年草で、生育環境の変化により全国的に減少しているようで、宮崎でも例外ではない
  この仲間はどれも花が良く似ていて見分けにくいがツチグリだけは葉の裏が白いのですぐに分かる。和名は肥大した根茎が生のまま食べられるのをクリに例えたと牧野図鑑には書いている。
  学名「discalor」は(異なった色の)の意味で、多分葉の表が緑色で裏が白色であることを表現していると思われる。
画像1 陽当たりのよい畑地帯の傾斜地に群生開花した株   
画像2 根際から斜めに伸び出した花茎は長さ25cmほど。
撮影:(2014.4.12 県央部) 
画像3 (株を上から見た)根生葉の間から出た花茎は横に伸びて
     四方に広がり先端近くで少数の枝を分けて花をつける。
撮影:(2014.4.12  県央部) 
 
画像4 花茎は枝先端近くで1~2回二岐し、細くなった枝先に花を一個つける。
撮影:(2014.4..12 県央部)  
  画像5 花は差し渡し1.5cmほど、ガク片は黄色い倒卵形の花弁に隠れて見えない。
撮影:(2014.4.12  県央部)    
 
画像6 オシベは20個内外、メシベは花の中央に集まっている。多数の小さな痩果ができる。
撮影:(2014.4.12  県央部)  
  画像6 ガク片は綿毛に覆われて内外2列、内側ぼガク片は長さ約4ミリで外側のものは半分以下。
撮影:(2014.4.12  県央部)
画像8 根生葉は3~7個の狭い長楕円形の小葉からなる。
       小葉は先で分岐する刻み目が羽状にあって目立つ。
 撮影:(2014.4.12  県央部)
 
画像9 葉の上面。小葉は長さ3~5cmほどで、柄は無い。鋸歯は荒く先は尖るが柔らかい。
撮影:(2014.4.12 県央部)
画像10 葉は緑色だが表面に綿毛が生えているので白っぽく見える。
長い綿毛もある。 撮影:(2014.4.12 県央部)
 
画像11 葉の下面。小葉の先端から柄の基部まで長さ約11cm、小葉から下の柄の長さ約5cm。撮影:(2014.4.16 県央部)   画像12 小葉下面の近接画像。全面に白い綿毛が密生して全体が真っ白。
撮影:(2014.4.16 県央部) 
 
画像13 根生葉を下から見た時の画像。葉軸部も真っ白に見える。
撮影:(2014.4.16 県央部)
  画像14 花茎の表側はやや赤みを帯びるが裏側は赤みが目立たない。
撮影:(2014.4.12 県央部)  
画像15 根茎は地中に真っ直ぐに伸びて太く塊状、紡錘状になる。
       この株の根茎は長さ10cmほど、球状部は直径2cmほど。
撮影:(2014.4.16 県央部)
 
画像16 細い根茎の中程で小球形となったヶ所もある。 撮影:(2014.4.16 県央部)    画像17 菌類(キノコ)のツチグリ(ツチガキとも)。ごく普通のタイプ。撮影:(2005..29 県央部) 
和名ツチグリの味について土地の古老に聞いたところ、昔は膨らんだ根を食べていた。
あの茶褐色の根の泥を取って手で皮(表皮)を剥ぐと中は真っ白な細い繊維になっていて、えぐ味や苦味は無く少し甘みがあって美味しかった。栗やシイの実の皮をむいて中の美味しいところを食べるのと同じで、爪で剥ぐと簡単に皮が剥げるのでよく食べていた。ツチグリはそのような食べ方から名がついたのではなかろうか。
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