FILE NO 215 宮崎と周辺の植物
ウド Aralia cordata Thunb.
独活 ウコギ科
撮影日 2013.11.25
撮影場所 宮崎市

  北海道~鹿児島県佐多岬までと千島・樺太、朝鮮~中国大陸まで分布するという大型の多年草で、高さ2mほどにも成長することが多く木のように見える。県内でも山野に広く自生している。
 古くから山菜として知られ、出雲風土記にも独活(つちたら)として出て来るほどだが、 文化的にはウドの大木という言葉以外には無いようで、万葉集にも出てこない。芭蕉はさすがに「雲間より薄紫の芽独活かな」と詠んでいる。幼茎の独特の香りと食感は他の山菜で替えがたい。
画像1 晩秋、葉も枯れて傾いた花茎に球状についた熟果は黒紫色
画像2 林地が伐採されて開けた山地の空間、花序を大きく伸ばした株。
   「独活の大木」は役に立たないものの喩えに使われるが、ウドは
    ウロが変化したもので正しくはウロ(洞)のできた大木は役に立た
ない意味だという説もある。  撮影:(2009.8.22  諸塚村) 
画像3 陽の当たる林縁草地、大きく拡げた葉の上に勢いよく花軸
        を伸ばして分枝の先に花序を開いた株、全体の高さ約1.5m。
撮影:(2011.8.13  高千穂町)
 
画像4 花軸は1m以上も長く伸び出すこともあり、総状に伸び出した枝先に球状の散房花序を開く。
撮影:(2011.8.13  高千穂町)  
  画像5 花軸先端の花序につくのが両性花で、それ以外の下方の花序は全て雌性花がつく。
撮影:(2009.8.22  諸塚村)    
 
画像6 両性花は大きさ3ミリほどで花弁5、オシベ5で、多数集まって全体で直径2.5cmほどの球状になる。撮影:(2009.8.22  諸塚村)     画像7 雌性花はやや縦長の球形で、先端の花柱5は長さ1ミリほどだが近寄ってみると印象が強い。
撮影:(2011.8.13  諸塚村)  
画像8 互生する葉は2回羽状の複葉で、長いものは1m以上にもなり、
    幅も同じほど広がる。全体に勢いがあって逞しい感じがする。
         撮影:(2011.8.13  高千穂町)
 
画像9 5~7個つく小葉は卵形、揃った鋸歯があり、先端は突き出して尖る。 
撮影:(2009.8.22 諸塚村)
画像10 葉上面の鋸歯の状況。画像では葉面全体にあるごく短い毛は点状にしか見えない。
撮影:(2011.8.13 高千穂町)
 
画像11 葉の下面はやや白っぽくて葉脈が浮き出る。小葉の長さは普通10cm前後だが大きいものは25cmを超える。 撮影:(2009.8.22 諸塚村)   画像12 葉の下面。脈上にも細脈上にもごく短い毛が多く、指で触ると葉面全体に密生している感じがする。 撮影:(2011.8.13 高千穂町) 
 
画像13 上部の茎と葉柄にもごく短い毛が密生している。葉柄の長さは約5ミリ。
撮影:(2011.8.13 高千穂町)
  画像14 茎中部の毛の様子。毛は下方に従って減少し、基部付近では熟果の頃に殆ど取れてしまう。
撮影:(2011.8.13 高千穂町)  
 
画像15 淡緑色の雌性花は徐々に赤みがかった果実に変わり、やがて黒紫色に熟す。
撮影:(2013.11.13 宮崎市)   
  画像16 熟した果実は大きさ3ミリほどの球形、小果柄も含めて全体が2cm強の球状果序になる。
撮影:(2007.10.14 五ヶ瀬町)   
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