FILE NO 227 宮崎と周辺の植物
ヤナギバルイラソウ Ruellia brittoniana Leonard
柳葉るいらそう キツネノマゴ科
撮影日 2004.8.6
撮影場所 宮崎市

 まだ図鑑等にも殆ど載っていないので、わかりやすい説明に苦労するが、宮崎では、かなり前から市街地で見られるようになっている。
 我が家の車庫周辺にもいつの間にか5〜6株が住み着いて、毎年花を咲かせている。
 最近は中心市街地の駐車場隅のコンクリートの隙間などでも良く見かけるが、その繁殖力の強さには驚かされる。
 宮崎県では帰化植物研究家の荒木徳蔵氏が1994年に採取し、「宮崎県の帰化植物新目録」にまとめて宮崎県総合博物館研究紀要第21輯として、1999年に報告している。
 似た種が多く学名は再確認が必要のようだ。
画像1 住宅地の舗装道路わきの花。
 キツネノマゴ科ルイラソウ属のヤナギバルイラソウということだが、メキシコ原産で中央アメリカ一帯に多くの種類があるルイラソウの仲間で柳のような細い葉だからと名付けられたと解釈している。
 ルイラは属名に記載したRuelliaで、フランスの植物学者の名前から来ているようだ。
画像2 高さは65cmほどで、根際から3本の茎が立った株。葉腋から伸びた長い花序の先に淡紫色の花をつける。花冠の長さは6cmほど。 画像3 花冠の直径は5cmほど、花筒部の
長さは約3cm、花冠裂片は2cm程度に切れ込み、全体にフリルが付いた感じで柔らかい。
画像4 5裂した萼には短毛があり、長さ8ミリほど、花冠の外側に膨らんだしわがある。 画像5 花冠内部は、長いメシベ1個を囲んで、長い2個のオシベ、少し短い2個のオシベがある。
画像6 市街地道路わきのコンクリート舗装され、他の植物も見えない日当たり最高の場所でも、元気良く花を咲かせている。 画像7 花は1日で萎んでしまうが、朝日の当たる前には開花し、殆どの花が午後3時前にはメシベを残して落ちてしまうので、夕方では花を見ることはできない。写真は、萼とめしべを残したままそっくり花冠がとれて細い葉にひっかっている様子。
  開いた花は1日で萎んでしまうが、開花期間中は次々と蕾が大きくなって、後からあとから花が咲き出す。
画像8 葉は細い線形で幅は広いところで7ミリほど、長さは15cmほどで縁には鋸歯がある。 画像9 葉の先は細く尖る。全体の細い葉の感じがヤナギバ(柳葉)とつけられた所以。
画像10 葉の裏には、突出した大きな
白っぽい主脈がある。
画像11 枝の出ない地上茎は方形で1cm強、葉の付け根は少し膨れ、基部から上部は少し太い。
画像12 根際から枝が出て株状になる。 画像13 根は主根があって真っ直ぐに下に伸び、根際から横に別の茎が出て株を作る。
宮崎では冬、地上部は枯れるがが、地下部は残って、例えば道路わきの僅かな隙間などで冬を過ごして時期になると成長するようだ。毎年同じ場所で花が見られる。
画像13 果実は長さ2.5cm、幅3.5〜4ミリほどで消炭色、やや扁平で両面に縦の線がある。
開花の期間、果実の数、コンクリートだらけの周囲の状況から、多分自家受粉で繁殖していると考えられる。(撮影:2004.8.14 朝)
画像14 莢は勢いよく弾けて、中から平べったい直径の2ミリほどの璃寛茶色の円形の種子を飛ばす。統計をを取ったわけではないが、2〜3個の果実を調べた結果、種子は25個前後入っていた。
(撮影:2004.8.14 )
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