FILE NO 454 宮崎と周辺の植物
ハガクレツリフネ Impatiens hypophylla Makino
葉隠釣舟 ツリフネソウ科
撮影日 2002.9.15
撮影場所 高千穂町

 紀伊半島以西に分布、県内では県南部を除いて自生するが、ありふれた花とはいえない。
 学名の「hypophylla」は「葉の下の」という意味で、命名者の意図がよく分る。
 進化の過程で、葉陰に花を咲かせることの有利さがあったのだろうが、花粉の媒介は他のツリフネソウ類と同じマルハナバチ等に頼っているようで、昆虫が違うわけではなさそうだ。



  
画像1 キツリフネに混じって咲いているが、どちらも
湿った藪陰や谷沿いの日の当たらない場所に咲く。
撮影:(2002.9.15 五ヶ瀬町)
画像2 落葉樹の下で群生し、草丈も1m近くに伸びている。
撮影:(2001.9.16 大分県)
画像3 葉腋から出た花柄は釣り竿のように長く伸びて葉の下に位置し、枝分かれした花序の微妙なバランスの上で左右大きさの違う花を、1ヶ所だけで支える自然の妙に感心する。
撮影:(2004.9.11 高千穂町)
画像4 中央の溝は、左右2個の花弁の隙間。
上の突起は、5個の雄しべの葯が合生したもので、昆虫がトンネルの奥にある蜜を吸いにもぐり込む時に、花粉を背につけることになる。
撮影:(2004.9.11 高千穂町)

画像6 花の一部を少し破って見た。
 上の角状のもの、と左の筒状になって段々細くなりくるりと輪を描いた部分が萼で、正常な花では上に2個、筒状が1個で合計3個ある。


 (画像5の説明)
くっついていた左右の花弁の分かれ目が見える。左の花弁とそのうしろの筒状の萼も合わせ目がゆるんで隙間が見える。
 花が小花柄とつながったところの小さな接続部分と筒状部分が萼。 花弁は雄しべを取り囲む萼以外の部分で合計3個からなる。
画像5 花の各部を少し引っ張って隙間を大きくしてみた時の写真。説明は画像6の説明欄に。
撮影:(2004.9.11 高千穂町)
画像7 全体の高さは80cmほど、茎下部はやや木質状に見える。撮影:(2004.9.11 高千穂町) 画像8 茎の中部より上は赤みを帯びて節は膨らむ。撮影:(2004.9.11 高千穂町)
画像9 葉表。葉は、両面の脈状に白い毛がある。撮影:(2004.9.11 高千穂町) 画像10 葉裏。鮮やかな脈が見える。
撮影:(2004.9.11 高千穂町)
画像11 葉の基部は少しよれて鈍形〜心形。
撮影:(2004.9.11 高千穂町)
画像12 果実は目立って括れる。
撮影:(2004.9.11 高千穂町)
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