FILE NO 433 宮崎と周辺の植物
ハナミョウガ Alpinia japonica (Thunb.) Miq.
花茗荷 ショウガ科

画像1 まばらについた赤い果実だが殆どの場合、数に多少の
違いはあっても果実がぎっしりとついた花軸は見たことがない。

画像2 全体の草形。高さは20〜50cmほどになり、
地下の根茎から叢生した偽茎を伸ばして、深緑色を
した広披針形の葉を広げる。(撮影:2004.12.16 田野町)
撮影日 2005.1.2
撮影場所 宮崎市加江田

 千葉県以西、台湾、中国南部まで分布しているそうだが、県内でも幅広く見られる常緑の多年草で、葉や茎がミョウガに似ていて花が目立つから花茗荷(ハナミョウガ)。
 花は紅白の縞があって鮮やか、赤い果実も緑の葉の間で目につくが、生えている場所が林内のヘビでもいそうな草むらなので丁寧に鑑賞する気になれない花だが、野性的な感じの個性的な花である。
 日本で見られるショウガ科の花はショウガ属に属するミョウガとハナミョウガ属に属するハナミョウガその他があるが、どちらも独特の香りがあり、昔から人々に利用されている。
 マレー半島あたりにあるこの仲間の種子を乾燥したものは生薬「縮砂」として昔から輸入され珍重されてきたそうだが、その代用品としてこのハナミョウガの種子が「伊豆縮砂」という名で呼ばれ、陰干しした種子を粉末にして服用すると健胃、腹痛、下痢に効果があるという。(画像12参照)
 種子は、ニッケイの香りを数倍強くしたようなきつい香りがする。 
 これに似てよく間違えられるのがアオノクマタケランで、花を見れば一目瞭然だが、花のない時期は識別しにくい。
画像3 派手な洋蘭を思わせる花は独特の紅白縞があって見栄えがする。写真の葉は本来の濃い緑ではないが、ポツポツと見える白斑は高温多湿を象徴する葉状地衣の「アオバゴケ」だそうで、このハナミョウガではよく見かける斑点である。
(撮影:2003.5.18 宮崎市加江田) 
画像4 高さ20cmほどの花茎に20〜30個の花を咲かせる。
(撮影:2003.5.18 宮崎市加江田)
画像5 内花被の花軸側一片は長楕円形で立ち上がってオシベを覆う。白地に赤い筋が入った唇弁は前に開いて先が3裂、両側基部には披針形をした細く赤い付属体を角のように伸ばす。
(撮影:2003.5.18 宮崎市加江田)
画像6 オシベは直立して先は前方に曲がり、突き出た白っぽい葯隔の下に左右2室になった葯がつく。花柱は左右2室の葯の間から自転車のペダルのように形で柱頭を突き出す。
(撮影:2003.5.18 宮崎市加江田)
画像7 葉は大きいもので幅7〜8cmほどになり、表面は無毛で手触りはやさしい。
(撮影:2003.5.18 宮崎市加江田)
画像8 葉の裏面は短毛が密生して触るとビロードのように柔らかい。
(撮影:2004.12.16 田野町)
画像9 葉の基部は鞘になって互生し、それが重なりあった偽茎には微細な毛がある。
(撮影:2004.12.16 田野町)
画像10 深緑色をしている葉の間から見える赤い果実は、上を覆う樹木が落葉するこの時期、直射日光を浴びる。(撮影:2004.1.31 綾町)
画像11 表面に細毛がある果実(刮ハ)は、ラグビーボールの両端をもっと細くした形で、長さ2.5cm弱、先端に長さ1cmほどの萼が残る。
(撮影:2004.1.31 綾町)
画像12 いくつか調べた果実では、種子は12〜17個入っていた。3角のおにぎりを片手で半分握りつぶしたような形に変形した種子の大きさは、さしわたしで4ミリ前後。手前右の種子にはまだ白っぽい仮種皮がくっついている。
(撮影:2004.12.16)
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