FILE NO 231 宮崎と周辺の植物
ヒナノウスツボ Scrophularia duplicata‐ serrata (Miq.)Makino
雛の臼壺 ゴマノハグサ科
撮影日 2005.8.7
撮影場所 諸塚村

 関東以西、九州まで分布する高さ1m近くにまでなる多年草で、同じ仲間にはほぼ全国にあるオオヒナノウスツボなどがあるが、全て和名にはどう考えても意味がわかりにくいと思える「ヒナノウスツボ」がついている。
 雛は、雛遊びに使うようにごく小さく作ったものという意味だとして、 壺は花の形が壺型をしているからということであれば、ままごとに使う壺をイメージした命名として理解できるが、臼がついている意味がわからない。
 これが臼型の壺で、様々な形の壺がある中で、上端の口部に括れがない壺にそのような名前でもあればそれなりに意味が判るが、手持ちの事典等でも出てこないので、無理なこじつけの解釈も成り立たない。
 備えている特徴も目立つほどに大きくはないし、全体が周囲の草むらに紛れて見えにくい花だが、自生している場所ではまとまって生えていることが多いので、一度目に付くとその周辺ではかなりの花が見られることに気がつく。
 近くで見ると花冠の形も独特、色も暗紫色と変わっているが、なんといっても1cmにも満たない大きさなので、人間の目にはつきにくい。
画像1 登山道わきの日当たりの良い草むらで、斜上気味の茎を精一杯伸ばして花をつけている。
画像2 茎先端から円錐花序を伸ばして簡単に数えられるほどの小さな花を疎らにつける。 画像3 花と未熟な果実。花柄は細く、ガクは深く5裂して裂片は尖る。花枝には腺毛が多い。
撮影:(2004.8.12 諸塚村)
画像4 花冠は暗紫色で、上唇は2裂、下唇は3裂して全体で直径3〜4ミリのつぼ形となる。
下唇3のうち下側の1辺は外に反り返る。
撮影:(2003.7.20 諸塚村)
画像5 花はメシベ先熟で、まずメシベが伸びて受粉し花外に下垂する。上唇中央基部にある仮オシベ1と手前に見えるオシベ4個は花冠内にあり、メシベの後で葯は裂開する。画像4と比較。
画像6 刮ハは先の尖った長卵形で、長さ6〜7ミリ。 画像7 葉は対生し、1〜3cmほどの柄のある卵状長楕円形で、縁には尖った重鋸歯がある。
画像8 葉の下面は明瞭に脈が隆起する。
葉柄は下部にあるものが長い。
画像9 茎は無毛で稜がはっきりして4角形に見える。撮影:(3004.8.12 高千穂町)
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