FILE NO 229 宮崎と周辺の植物
ヒオウギ Belamcanda chinensis (L.) DC.
桧扇 アヤメ
撮影日 2010.11.28
撮影場所 県南部

 
本州以南の日本本土~琉球~台湾、朝鮮、中国~インド北部まで分布するという多年草で、日本では日当たりの良い草原や丘陵地で見られるが、宮崎県内ではそのような環境が減少し、かなり前から目にする機会が減ってきたように見える。
 出雲風土記に出てくる夜干(カラスアフキ)は多分根茎が扁桃炎等に効能がある生薬名の射干が取れる意味だろうと思われる。
 万葉の頃から植物そのものを鑑賞するというよりは、その種子の黒さから暗いや夜、夕べを強調する枕詞「ぬばたま」として多くの和歌に詠まれ、言葉の常識として我々の世代まで伝えられてきた。
 現在でもヒオウギの花を歌った句や歌は少ないような気がする。
画像1 晩秋の草原で風に揺れる黒い果実、古名は射干玉(ヌバタマ) ムバタマ、ウバタマとも変化
画像2 地面から1cm近くある高さの花茎の先に咲いた花。
 花茎の基の葉は扇子が左右に広がる形に開く。
    撮影:(2010.8.3 県南部
画像3 花は独特の橙色で、赤い斑点がほぼ同大の花弁の左右に規則的につく。
    花は一日で萎んで、横から次の花が伸びて開くので花期が長く見える。
撮影:(2010.8.3 県南部
画像4 全体の下部40cmほどが葉を左右に出して中心部から花茎を伸ばす。 撮影:(2010.8.3 県南部 画像5 花茎は50~60cmほど伸び、途中で小数分かれた枝先に花をつける。 撮影:(2010.8.3 県南部
画像6 蕾状態の花。広披針形膜質の苞の中に包まれた蕾が3個ほどつく。 撮影:(2010.8.3 県南部 画像7 花は平開して差し渡し4cmほどに広がるが、花被片は多少うねる。 撮影:(2010.8.3 県南部
画像8 長さ2cmほどの花被片の基部には溝ができる。赤い斑点は中央線を境にほぼ左右対称につく。
撮影:(2010.8.3 県南部
画像9 オシベは3個で長さ2cmほどだが、葯が上半部を占める。メシベ花柱は先がが3裂する。
撮影:(2010.8.3 県南部
画像10 果実は長さ3cmほどの倒卵状楕円形で熟して裂ける縦の浅い凹みがある。果皮は一見厚いいように見える。 撮影:(2010.11.28 県南部 画像11 果実は熟すと以外と薄く柔らかい表皮が収縮して裂け、中から2、3個~15個前後の種子が顔を出してくる。 撮影:(2010.11.28 県南部
画像12 種子は2種皮性で、この外種皮の下に充填物があって初めは直径5ミリほどの真っ黒な球形だが徐々外種皮が縮んでくる。 撮影:(2010.11.28 県南部 画像13  縮んだ外種皮を取り去ると中から同じく真っ黒な表面に小さな窪みのある堅い内種皮が出てくる。大きさは直径3ミリほど。 撮影:(2010.11.29 県南部
画像14 アヤメ科特有の剣状の葉の基部は鞘となって若い葉を包んでいるので葉は折り畳まれて表裏は区別できない。 撮影:(2010.8.3 県南部 画像15 葉は長いもので50cm近く幅3cm前後あって直立し、葉先も含めて刀剣状に尖って周囲は白く縁どられる。 撮影:(2010.8.3 県南部
画像16 葉が花茎を鞘状に包んでいる基部。葉の表裏で言えば見える部分は裏側に当たることが分かる。
撮影:(2010.8.3 県南部
画像17 葉は近くで見ると単子葉植物の特徴である平行脈が全体にある。葉の脈数は片側で8個ほどある。            
撮影:(2010.8.3 県南部
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