FILE NO 482 宮崎と周辺の植物
カンコノキ Glochidion obovatum Sieb. et Zucc.
かんこのき トウダイグサ科
撮影日 2010.7.21
撮影場所 県央部

 
紀伊半島以西、四国、九州〜琉球にかけて分布する、日本固有の落葉または半落葉性の雌雄同株時に雌雄異株の低木で、沿海地の丘陵等に自生するとされ、宮崎では島や縁岸林或いは内陸部の低木照葉樹林等で見られるが、何処でも見かけるほど多くはない。
 カンコについては、前川文夫博士の植物の名前の話(八坂書房)の中の「カンコノキの語源私考」に、(小川由一氏はこの木の葉型がカンコ舟に似ていると見立ててカンコギであろうと推論しているが)、倭名抄にも出てくる唐菓子の一種であるカッコ(カンコともいう。)に果実の形が似ていたからではないかと書いているが、唐菓子カッコはせめて一度見てみたいものだ。
画像1 横枝から不規則にでた小枝の葉腋についた多くの雌花と雄花。 
画像2 陽当たり満点の堤防の高水敷草地、かなりの年数の木が一本、高さ役5〜6m。
      基部近くで分かれた幹が無秩序な分枝を繰り返し、枝が密に茂った樹形。
    撮影:(2019.8.3 県央部)
画像3 花は葉腋に多数が束生するが、メバナだけの場合や雄花だけの場合、
     またメバナとオバナが混じって束生する場合などさまざまで、束生する
     花数も大きな幅で変化する。画像の中央がオバナで、その右にある蕾の
 ように見えるのがメバナ。   撮影:(2010.7.21 県央部)
画像4 オバナは花弁のように見えるガク片6個(小3、大3)が平開すると差し渡し5ミリ近い大きさ。
花柄は長さ9ミリほどある。
撮影:(2010.7.21 県央部)
画像5 長さ4ミリほどのメバナは花柄が3ミリ弱でガク片6は立ったまま開かない。花柱は合着して棍棒状になってガク片より少し飛び出る。
撮影:(2010.7.21 県央部)
画像6 子枝は幹や枝から無秩序に出てくる感じで全体に葉が茂る。新しい枝は紫褐色。
    小枝の先は刺になっていることが多いので不注意に触ると指を刺すことがある。
 撮影:(2010.7.21 県央部)
画像7 葉は基部が長く伸びる倒卵形で無毛全縁。長さ3〜8cmと変化するが枝の基部か先かでも違う。倒卵形の形もさまざま変化するが、基部を舳先に見立てたカンコ舟の形が基本。撮影:(2010.7.21 県央部) 画像8 葉の下面。互生する葉の柄は3ミリほどと短い。5個の側脈は縁の近くで曲がって隣の脈と網を作る。色は上面の深緑と違って淡緑色。葉先は丸くなるか僅か突き出る。撮影:(2010.7.21 県央部)
画像9 果実は直径6ミリほどの偏球形をした4分果からなり、全体はかぼちゃのような形になる。
撮影:(2007.11.4 県央部)
画像10 果実の分果が熟して裂開すると中にある種子が見えるが、種子は直ぐに落下することはない。
撮影:(2006.715 県央部)
画像11 熟した4分果の果実は褐色に熟す。種子は1分果に2個あるから8個の膨らみがある。
撮影:(2006.12.12 県央部)
画像12 種子は朱色で長さ3ミリほど。果皮が取れても中軸について離れない。
撮影:(2006.12.12 県央部)
画像13 古い枝には縦の裂け目ができてひび割れたようになる。 撮影:(2007.07.21 県央部) 画像14 幹には縦の大きな深い溝状の裂け目ができる。 撮影:(2007.11.4 県央部)
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