FILE NO 526 宮崎と周辺の植物
コクサギ Orixa japonica Thunb.
小臭木 ミカン科
撮影日 2007.2.4
撮影場所 国富町

  青森県以南、韓国、中国中部に自生してクサギのように強い臭いがあって木が小さいからコクサギ(子臭木)といわれ、刻んで乾燥した枝葉の煎液は腫れ物、家畜の皮膚病等駆除に薬効があるという。
  属名の「Orixa」は牧野図鑑によれば、日本人通詞がカタカナで書いたコクサギをオリサギと読み間違えたことに起因するとされるが、この話は奇妙に説得力があり、植物の命名の意外性と、昔からある植物名の由来説の危うさを思い起こさせる。
画像1 種子を飛ばして空のまま残っている果皮。葉や果実だけでも独特の形で分るコクサギはまた、強い臭気によってもすぐに分る。
画像2  熟した果実が種子を飛ばす仕組みが独特で面白い。
画像の左1がほぼ熟した果実(分果)で、縦の線で裂開して
中にあった白っぽい左2の内果皮が弾かれて外に飛び出す。
飛び出した内果皮は左3のように左右に強く反転して開き、
 その勢いで中にあった左4の種子をさらに遠くへ弾き飛ばし、
  後には木の枝に左5の外果皮だけが残るという仕組みのようだ。   
 種子は直径5ミリほどの光沢のある黒い偏球形で果皮は堅い。   
撮影:(.2005.10.25  国富町)
画像3  雌雄異株。雄花序は総状に出て淡黄緑色で長させいぜい5cmほど、
      軸には短い軟毛があり2〜3ミリの柄を伸ばして花を10個ほどつける。
撮影:(2005.5.14 諸塚村)
画像4 高くなっても4mほどの落葉低木で、むやみに枝分かれして樹形がはっきりしない。
撮影:(2006.5.13 国富町
画像5  葉の出方は独特で、左右に2個ずつ交互について「コクサギ形葉序」と呼ばれる。
 撮影:(2005.5.14 諸塚村 )
画像6 オバナは直径約5ミリ、1ミリ弱のガク片4、2ミリほどの狭倒卵形の花弁4、長さ1.5ミリほどのオシベ4からなる。 撮影:(2005.5.14 諸塚村) 画像7  展開後の葉。全体に腺点があって柔らかく、上面は油を塗ったようにてかてかして臭いも強い。 撮影:(2006.5.13 国富町) 
画像8 葉は長さ10cm、幅5cmほどで基部は楔形、鋸歯はない 撮影:(2006.5.13 国富町) 画像9  葉の下面。脈は隆起し、初めは脈上に軟毛が多い。  撮影:(2006.5.13 国富町)
画像10 緑色の若枝と長さ1cm弱の葉柄には短軟毛がある。撮影:(2006.5.13 国富町) 画像11  葉先は尖り、先端はごく浅く2裂する。
撮影:(2006.5.13 国富町)
画像12  果実は4分果となる。果実にも、バックに写った葉にも腺点が見える。
  臭いは鼻がまがる臭いではなく、強すぎて頭が痛くなるような独特のいやな臭い。
撮影:(2005.8.7 諸塚村)
画像13 分果は緑色で長さ1cmほどの腎臓形、縦に内縫線がある。 撮影:(2005.8.7 諸塚村) 画像14 熟した果実。内縫線に裂け目ができている。 撮影:(2005.10.22 国富町)
画像15 4分果とも裂開して種子を飛ばし空になった外果皮。  撮影:(2005.11.1 川南町) 画像16  空になった外果皮はその後少しずつ縮んでくっ付いてくる。 撮影:(2007.2.4  国富町)
画像17  枯れた外果皮には、独特の横筋模様が突出する。撮影:(2007.2.4  国富町) 画像18 樹皮は暗灰色で皮目が目立ち、若い木には縦の筋がでる。 撮影:(2007.2.4  国富町)
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