FILE NO 259 宮崎と周辺の植物
クサスギカズラ Asparagus cochinchinensis (Lour.) Merrill
草杉蔓 ユリ科
撮影日時 2003.5.11
場所    延岡市
花のアップ写真  2003.5.10 串間市
果実と枝の写真   2004.6.5 川南町
  
 海浜地の砂地に続く林や草地に生えるが時にはかなり内陸に入った畑わきの草地などにも生える。
 学名から分かるようにアスパラガスの仲間だが、こちらは食用よりは薬になる話で、昔から干した根は天門冬(てんもんどう)という生薬で知られ、利尿、咳に薬効があって、 強壮にも効くとされているそうだ。
 幕末の弘化2年、延岡藩に招かれて薬草調査をした豊前佐田の本草学者である賀来飛霞の「高千穂採薬記」巻之二に、(遠見山、 方財嶋(現在の延岡市川島、方財付近)で、天門冬極めて多し、之を掘るにその根肥大也。)とあり、相当に沢山のクサスギカズラが生えていたと思われる。
 アスパラガス同様、多分若芽は美味しいはずだが、専門家が薬草として栽培していたとすれば、若芽が美味しいことを知っていたかも知れない。
画像 海近くの林縁で、崖から大きく垂れ下がって沢山の花をつけた株だが花は小さくて良く分からない。
画像2 緑色の枝葉は草むらでは殆ど目立たない。よく似たキジカクシは秋には果実が赤く熟して目に留まるが、こちらは汚れた白色に熟すのでいよいよ見過ごすことになる。 画像3 茎は下部では木質化し、上部では細くなって多くの枝を伸ばしながら他物にからんで2mほどになる。
画像4 花は大きさが3ミリ程度で黄白色。 画像5 花柄は花被片程度の長さで、関節がその中央部付近にある。花被片6個は平開し、オシベ6個は花被片より短くて柱頭は3裂する
画像6  幹や太い枝につく葉は上向き5ミリほどの固い刺になり、そのわきから出る稜のある細い枝につく葉は退化してごく小さな膜質となる。  画像7 細い枝の退化した小さな膜質の葉は見えないが、葉と同じ働きをする葉状枝(葉状茎)が葉腋に1〜3個束生する。
  長さ1〜2cmになる線形で3稜があり、ゆるく弓状に曲がって先は尖る。 
画像8 果実は球形で直径7ミリほど、果柄の中間付近に関節が見える。 画像9 まだ未熟だが白っぽくなってきた果実。熟したら汚白色となる。(撮影2006.9.22 日南市)
トップへ 科名リストへ