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画像2 葉柄より短い花柄の先に、縦に隆起した白条による縞模様が目立つ仏炎苞ができ、その中に肉穂花序ができる。
仏炎苞の先は暗紫色で大きく内側に曲がって左右に広がり、口元を塞ぐ形で丸くなって耳形になるので、他のテンナンショウ類とは違う独特の形ができる。(撮影:2002.3.24 西都市) |
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画像3 株全体の様子。偽茎と葉柄、仏炎苞の長さが分る。葉裏の脈ははっきり突出している。
仏炎苞は立ち上がった後は殆ど直角に前方に突きだして、写真等で見る猛毒のコブラが鎌首を持ち上げたような形になるので、いよいよ近寄りがたくなる。(撮影:2002.3.24 西都市) |
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(名前)
ムサシアブミは、武蔵の鐙のことで、昔見た西部劇に出てくるアパッチの酋長ジェロニモは裸馬に乗っていて足の先が空中に浮いているように見えたが、テレビで放映されている暴れん坊将軍吉宗が鞍のついた馬で海浜を走る場面を見ると、ちゃんと足が踏み台に乗っているのが分る。その踏み台が鐙で、往時国内各地で作られた日本独特の(踏み台の長い)舌長鐙の中で、関東武者が活躍した武蔵の国で作られていたのが「武蔵鐙」、花を逆さまにしたらいかにも鐙に似ていることから、この植物の名前になったらしい。
(古名)
承平7年(935年)の源順の和名類聚鈔には「加岐都波奈:かきつばな」という名前で乗っているそうで、花は染料に使っていたようだ。(図説草木名彙辞典 木村陽二郎 柏書房 1991年) |
画像4 雌株の仏炎苞を縦に割いて見たところ。
整然と並んだ小さな緑色の雌花の上部の柄の上に太くなった付属体ついている。
仏炎苞の先の暗紫色の部分も片側の耳形が残っている。雌雄異種の多年草で、雄株では花軸に紫色の葯が目立つ雄蕊がぎっしりと並ぶ。
(撮影:2004.4.17 田野町) |
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(実験:見かけ以上に極めて猛毒)
トウガラシのような色の果実は香りもトウガラシによく似ており、辛さの程度を試そうと果皮を少し嘗めてみたところ、とんでもない辛さで、すぐに舌の先と周辺が痺れてチクチクしだした。10分ほど水道水で洗ったが治まらず、痺れは翌日には取れたが舌の先が火傷状になって、ヒリヒリが直るのに4日かかった。 |
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画像6 若い果実で鮮やかな緑色が目立つ。
(撮影:2004.11.21 田野町 以下画像11まで)) |
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画像7 熟して赤くなった果実(液果)
この時期は葉もかなり枯れており、藪の中で茎の先に真っ赤な粒の固まりが見えると不気味な感じがする。 |
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画像8 小さな未熟の緑色と、熟して赤色になった果実が混じった果軸。 |
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画像9 果実がついた果軸を縦に切断した。 中はスポンジ状で空隙がある。 |
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画像10 長さ1cm、直径7ミリほどの果実のアップ。果実の先は少し凹む。 |
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画像11 果実には種子が1個または2個入っている。画像9で両断した果実の片側で、2個の種子のうちの残った1つ。 |
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画像12 果軸についた果実の様子。
(撮影:2004.12.4 宮崎市 画像13まで) |
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画像13 四方から押されて角のある楕円形に変形した果実。中の種子は直径6ミリほどの球形で基部が少し突出。種子は1個の場合が多いが、クリの果実ように2個になった形のものもある。
中央左が1個のもの、右が2個のもの。 |
種子については、日本植物種子図鑑(中山、井之口、南谷共著 東北大学出版会 2000年)に詳しく記載されている。 |