FILE NO 697 宮崎と周辺の植物
ノコギリシダ Diplazium wichurae (Mett.) Diels
鋸シダ イワデンダ科
撮影日 2015.1.13
撮影場所 宮崎市

 
福島県南部~能登半島ライン以西の国内各地と、朝鮮南部、台湾、中国に生えるという常緑性のシダで、宮崎でも各地の林中で見られるが、陽の当たらない陰湿な傾斜地等で見かけることが多い。
  和名は名の通り葉の縁のギザギザを鋸の歯に見立てたということらしく、種小名「wichurae」は採集者の名前で特徴とは無関係。
  縁がギザギザしたシダは他にもあると思うが、よくよく見てみるとこのシダがやはり一番ノコギリの歯に似ているような気がする。
画像1 地表から葉身先端部までの長さ約60cm、葉柄部が30cm。
画像2 谷川に沿った遊歩道脇傾斜地、直射日光は当たらないが頭上を覆う樹の
     葉が比較的少なく、フラッシュ無しで撮影できる程度の明るい場所だった。
 撮影:(2015.1.13  宮崎市)
 画像3 葉の下面。明確な側羽片は14対、葉柄は濃黒紫色だが上部近く
    では段々緑色が強くなって葉の色に同化する。頂羽片はない。
撮影:(2015.1.13  宮崎市)
 
画像4 側羽片は中軸の下半部辺りが最長で8cm前後、゙幅1.7cmほど。羽片基部前側の耳垂が目立つ。 撮影:(2015.1.13  宮崎市) 画像5 側羽片基部の耳垂。側羽片の基部はくさび形で短い柄になるが軸に流れることはない。脈は凹む。 撮影:(2015.1.13  宮崎市)
画像6 標準的な葉身を上から見たもの。左(基部)から右(先端)に
     かけて中軸の色が少しずつ緑色へ変化する様子が見える。
撮影:(2015.1.13 宮崎市)
  
 
画像7 側羽片の下面先端部付近。縁は先端までノコギリ状の鋸歯がある。脈は分岐する。
撮影:(2015.1.13 宮崎市)
 
  画像8 側羽片下面の拡大画像。鋸歯の間に鋭い小鋸歯が出る。脈は二岐し更に二岐する。
撮影:(2015.1.13 宮崎市)
 
画像9 鎌状に曲がった側羽片下面のソーラスのつき具合。ソーラスは
     二岐した羽軸の枝側について、長さ6ミリほどで脈に沿って開く。
撮影:(2015.1.13  宮崎市)
 
画像10 ソーラスは側羽片の基部からつくが、耳垂につくことは少ない。
撮影:(2015.1.13  宮崎市)
画像11 ソーラスの包膜は外側に開いて胞子嚢を露出させる。包膜は全縁。
撮影:(2015.1.13  宮崎市)
画像12 若い葉でソーラスの包膜はまだ胞子を覆ったままで開いていない。
撮影:(2015.1.13. 宮崎市)
 
 
画像13 高さ1/3付近の葉柄。濃黒紫色で鱗片は殆ど見当たらない。上(表)側に顕著な溝がある。 撮影:(2015.1.13  宮崎市) 画像14 基部近くの葉柄には明らかな鱗片がある。鱗片は広披針形で全縁、長さ4~5ミリほど。撮影:(2015.1.13  宮崎市)
 画像15 画像12の若い葉。下面の白い包膜が感じられる。羽片は革質で硬く
      暗緑色で光沢がある。この側羽片は16対近くあり、やや斜めに立ち
       上がった葉柄から葉身先端にかけて徐々に傾いて、全体が弧状なる。
撮影:(2015.1.13  宮崎市)
画像16 根茎は横に長く這い伸びて次々に新葉を出す。左端の
     葉柄基部の太さは約3ミリ。 撮影:(2015.1.13 宮崎市)
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