FILE NO 630 宮崎と周辺の植物
オニグルミ Juglans mandshurica Maxim. var. sachalinensis (Miyabe et Kudo) Kitamura
鬼胡桃 クルミ科
撮影日 2009.5.13
撮影場所 県北部

 クルミ科は世界に6属60種ほどあって、日本にはクルミ属のオニグルミ、サワグルミ属のサワグルミ、ノグルミ属のノグルミの3種だけがあり、食用になるオニグルミは北海道から九州までと樺太に自生するというが、今国内で食用に栽培されているのは外国産の種類らしい。
 関東以北に多く、アイヌの生活では食用はもちろん、悪霊を追い払ったり染料にしたり、また咳止めも利用していたという。
 オニグルミの鬼は、画像17のように核果の表面の皺が複雑に凹凸しているからという。  
画像1 谷脇など水の近くに生え、県内では中部以北に自生する。 
画像2  山中の近づき難い場所に生える高さ10m以上になる雌雄同株の落葉高木で、
     5月になると高い枝の先に雌花序が、枝の下から雄花序が長く垂れ下がる。
撮影:(2009.5.3 県北部 )
画像3  判りやすい全景写真は難しいが、枝葉全体が均整のとれた樹形になる。
    枝先に集まって広がった葉の下や枝から垂れ下った雄花序が見える。
撮影:(2009.5.3 県北部 )
画像4 雄花序は、落葉して枝だけとなった前年枝の葉腋から長さ20cmほどの尾状になって垂れ下がる。 撮影:(2009.5.3 県央部) 画像5 花序にぎっしりとついた雄花は、大きさ5ミリほどで花被片は4、黒いオシベが10〜20個見える。 撮影:(2008.5.22 県北部)
画像6  雌花序は新葉の展開に合わせて枝の最先端に開花するので、葉陰で見えにくい。
  花序は穂状で長さ10cmほどに直立して深紅色が目立つ数個の花をつける。
撮影:(2009.5.3 県北部)
画像7 雌花は長さ3〜4ミリほどの緑色の円筒形で先端に小苞や花被片4がある。真っ赤な皮針形の花柱2は長さ約5ミリ、毛状の突起が多い。
撮影:(2009.5.3 県北部)
画像8 1枚の苞葉、2枚の小苞葉、4枚の花被片全部が合着して子房を包みこんだ雄花は、花後すぐに膨らんで果実に成長する。全体に毛が密生する。 撮影:(2008.5.22 県北部)
画像9 枝先に互生して大きく展開する奇数羽状複葉は長さ60cmほどにもなり、
葉柄や葉軸に軟毛や腺毛が密生する小葉は大きく、8対ほど出る。
 撮影:(2009.5.13 県北部)
画像10 小葉は基部からだんだん大きくなり、先端近くで小さくなる。  撮影:(2009.5.13 県北部) 画像11 小葉は長楕円形で最長16cmほど、16個ほどの脈がある。 撮影:(2009.5.13 県北部)
画像12 小葉の上面はほぼ無毛だが葉縁に短い軟毛がある。葉軸は表側が紫色で裏側が淡緑色、短軟毛が密生する。 撮影:(2009.5.13 県北部) 画像13 互生する葉の柄は長さ10cmほどでごく短い軟毛が密生し、葉軸に繋がる基部は太くなる。   撮影:(2009.5.13 県北部)
画像14 葉の下面は星状毛が密生してやや白身がかった淡緑色。 撮影:(2009.5.13 県北部) 画像15 葉下面は星状毛のほか、脈上に短い白軟毛が密生する。 撮影:(2009.5.13 県北部)
画像15 果実は柄が無くて房状につくが、葉の陰になって見えにくい。 撮影:(2008.9.13 県北部) 画像16 果実は直径4cmほどの卵球形で表面に短軟毛が密生する。 撮影:(2008.9.13 県北部)
画像17 核(クルミ)は縦3.2cmほどの卵球形だが、先端が鋭く尖って表面に小さな皺が多いのが特徴。 撮影:(2008.9.13 県北部) 画像18 (参考)右は同じ集落で見た普通のクルミ(種は不明)で植栽したと思われるが、先が尖らず表面の皺も少ない。  撮影:(2008.9.13 県北部)
画像19 暗灰色の幹は樹齢で変化するが、大きくなると樹皮の裂け方が荒く深くなる。
撮影:(2009.5.13 県北部)
画像20 参考に挙げた画像18の不明種クルミの新葉は、小葉が3対で無毛、葉縁の鋸歯はほとんど見えない。 撮影:(2009.5.14 県北部)
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