FILE NO 620 宮崎と周辺の植物
オオイタビ Ficus pumira L.
大いたび クワ科
撮影日 2008.12.14
撮影場所 串間市

  オオイタビのイタビはイヌビワのことで、大きなイヌビワを意味するが、学名の「pumira」は小さいを意味し、幼い時期の葉の特徴に注目したと思われる。
  関東南部以西〜沖縄、台湾・中国南部〜東南アジアまで分布するようで、宮崎では他のイタビ類よりも目にする機会が多い。
  海岸の岩場や沿海地の道脇傾斜地、民家の塀など日当たりの良否に構わず蔓延っている景色も馴染み深いが、特に何かに利用する話も聞かない。
  折った枝等から出てくる乳白液の粘りには辟易する。
画像1 冬でも熱い海辺の岩場に広がって果実(果嚢)をつけた蔓。 雌雄異株の蔓性常緑木本
画像2  小さな集落のお宮の参道にある落葉したエノキに纏わりついて、
   遠目にはまるで常緑樹に見えるほど広がったオオイタビの蔓。
  撮影:(2008.12.21 宮崎市)
画像3 雌雄とも花は球状の嚢の中にできて外からは見えないが、これは雄花嚢で、
     イチジクコバチの仲間のオオイタビコバチが出入りする穴が空いた上側が雄花、
     赤紫色部分がコバチの幼虫が羽化するまで寄生する虫えい花で、雄花は羽化した
       コバチのメスが外に出る頃熟して花粉を運ばせる等複雑な共生関係にあるという。  
撮影:(2008.12.14 串間市)
画像4 蔓になった茎から伸びた1mほどの枝は、さらに多くの小枝を出して広がり周囲を覆い尽くす。  撮影:(2006.12.12 宮崎市) 画像5 葉腋についた雄花嚢。長さ4.5cmほどの先がやや突き出た倒卵形で果柄は長さ約2cm。  撮影:(2008.12.23 日南市)
画像6 画像3の雄花部分。出入りする穴の周囲に雄花がある。 撮影:(2008.12.23 日南市) 画像7 画像3の虫えい花部分。高さは0.5ミリほどとごく小さい 。  撮影:(2008.12.23 日南市)
画像8 葉腋に下がった雌果嚢は、ほぼ球形で大きさは約3cm。  撮影:(2008.12. 14 宮崎市) 画像9 縦に切断した雌果嚢、中は淡褐色の種子が充満している。  撮影:(2008.12.14 宮崎市)
画像10 画像9の拡大。種子は長さ約2ミリほど。
撮影:(2008.12.21 宮崎市)
画像11 葉は互生、無毛で厚みがあり先は鈍く尖って長さ約10cm。 撮影:(2006.12.12 宮崎市)
画像12 葉の下面は白味があって脈は鮮明。葉柄は長さ約3cm。  撮影:(2005.12.25 宮崎市) 画像13 若い蔓の葉は大きさ1〜2cmと小さく他のイタビ類にない特徴。 撮影:(2005.12.25 宮崎市)
画像14 イチジクの仲間は全て樹全体に乳白液があり、果実をちぎると強力な粘り気のある液が滴る。 撮影:(2008.12.21 宮崎市) 画像15 蔓は茎や枝から気根を出して岩や樹幹に張り付いて次々と広がってゆく。
撮影:(2008.12.21 宮崎市)
画像14 (参考)イタビカズラの葉形。先端は長く伸びて鋭く尖るのですぐに判る。
撮影:(2008.12.21 宮崎市)
画像15 (参考)ヒメイタビの葉形。オオイタビの葉を縮小して基部から伸びる側脈の角度を広くしたようで分かりやすい。 撮影:(2008.12.21 宮崎市)
画像16 イタビ類で葉の大きさの違い分かるように並べた葉の下面。
        左からオオイタビ、メジャー、イタビカズラ。ヒメイタビの葉だが、
     中央のイタビカズラは普通より少し汚れた葉を採取している。
撮影:(2008.12.21 宮崎市)
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