FILE NO 615 宮崎と周辺の植物
サイカチ Gleditsia japonica Miq.
さいかち マメ科
撮影日 2008.11.30
撮影場所 高千穂町
 
 サイカチは、関東中部〜四国、九州中北部までと、朝鮮半島、中国に分布するという落葉高木で、古くから薬用になる樹として知られている。
 宮崎では北部の比較的標高の高い地域の一部に限って自生し、見る機会は少ないが、特徴のある捩れた果実が無くても幹のトゲですぐに分る。
 葉や果実やトゲにも薬用成分があるそうだが、この捩れた果実の莢も痰に効くという。
 和漢三才図会にいわく、莢の粉末を鼻中にすれば、水溺卒死も一晩なら生き返ると。
画像1 峠のトンネル近くに1本、葉が落ちた樹に奇妙な形の果実が風に揺れる時期になるとこの辺りでも夜神楽が始まる。 さいかちは、古名の西海子がなまったものという。
画像2 高さ10mはありそうな樹。少し黄みがかった緑白色の花が枝から
        溢れるように咲く。雌雄同株で雄花、雌花、両性花があるといわれるが、
          この樹は4年間下方の枝を観察するがオバナしか見えないし、果実もつかない。
 撮影:(2005.6.12 高千穂町)
画像3 未熟期の果実だが、もう捩れて枝からぶら下がっている。
撮影:(2008.9.1 高千穂町)
画像4 花のつく枝は互生する短枝となり、葉は一回羽状複葉となって束生し、
     各葉には互生する小葉が10対前後つく。撮影:(2005.6.12 高千穂町)
画像5  短枝の葉は1回偶数羽状複葉で、小葉は基部から先に向かって段々と大きくなる。
撮影:(2005.6.12 高千穂町)
画像6 花序は長さ15cm近い総状花序になり、束生する葉の間に伸びる。
撮影:(2005.6.12 高千穂町)
画像7 オバナ。花は無柄、大きさ1cmほどで平開しない。花弁は4、オシベ8は花弁より長い。
撮影:(2005.6.12 高千穂町 )
画像8 ガク裂片は先が尖り、長さ4ミリほどの楕円形をした花弁より長い。花序軸やガクには微毛が密生する。 撮影:(2007.6.17 高千穂町 )
画像9 羽状につく楕円形の小葉は、基部近くで2.3cm、先端近くで3.3cmほどとかなり長さが変化する。 撮影:(2008.7.27 高千穂町) 画像10 小葉の下面。柄は殆んど無くて若い葉では中央脈にやや毛が見えるが、成葉では殆んど無毛。 撮影:(2008.7.27 高千穂町)
画像11 葉が4〜5個束生する短枝の基部は葉痕や側芽が集まって黒く盛り上がっている。
撮影:(2007.5.2 高千穂町)
画像12 枝に出る鋭い刺は、束生する葉とセットになっているので、枝の刺は目立たない。
撮影:(2007.5.2 高千穂町)
画像13 小さないぼ状の皮目が多い幹の刺は特徴的。刺は枝が変形したものなので、途中で枝も出て長くなる。 撮影:(2005.6.12 高千穂町) 画像14 樹齢200年、高さ13mといわれる老木の樹幹下部、刺は殆んどない。
撮影:(2008.11.21 高千穂)
画像15 刺は短いものから50cmと長いものまであって落葉した枝のように見える。
撮影:(2008.11.30 高千穂町)
画像16 幹から枝分かれした太い枝では幹ほどの刺は見られない。枝は灰白色〜暗灰色。
撮影:(2008.11.2 高千穂町)
画像17 果実は、長さ25cmほどの扁平な豆果で、捩れて曲がり、
     10〜15cmほどの果序軸から垂れ下がって風に揺れる。
     熟すと濃紫色になるが、莢は硬くて裂開せずに落ちる。
撮影:(2008.11.2 高千穂町)
画像18 莢の中に種子は20個ほどあるが、かなり未熟が多くて完全なものは数個の場合が多い。
撮影:(2008.11.2 高千穂町)
画像19 種子は、薄い栗色をした艶のある長さ10ミリほどの広楕円形で、僅かに隆起した横縞がある。 撮影:(2008.11.22 高千穂町)
トップへ 科名リストへ