FILE NO 642 宮崎と周辺の植物
センブリ Swertia japonica (Schult.) Makino
千振 リンドウ科
撮影日 2009.11.7
撮影場所 美郷町

 北海道〜九州、朝鮮半島、中国に分布する多年草で日の当たる山野の草原に生えるが、センプリと呼ぶ宮崎でも近年の採取や生育環境の改変等によって自生地が減少し、準絶滅危惧種に指定され、目にする機会も少なくなって来た。
 子供の頃の薬といえば、センブリとゲンノショウコだったように思うが、日本の民間薬の代表ともいえるこの2つは中国由来の漢方薬でなく、日本で開発された薬草というから面白い。
 和漢三才図会には、当薬俗に世牟不利というとある。 
画像1 山村に通じる県道の小さな陽のあたる法面。高さ12cmほどの株が数本生えているが、このような自生地は珍しくなってしまった。 ムラサキンブリとの違いは、ムラサキセンブリに記載した。
画像2 画像1は道路保全の定期的な雑草刈りが行われている環境で株が小さいが、
       この株はまだ蕾状態だが高さは25cmほどと逞しく、上部で多く分枝している。
 撮影:(2001.9.29 小林市)
画像3  花は5数性で花冠は白又はかすかに淡紅を帯びて上向きに平開し差し渡し2cmほど。
花冠は深く5裂、裂片は広披針形で淡紫色の脈が5本真っ直ぐ平行に伸びる。
撮影:(2009.11.7 美郷町)
画像4 ガクは基部まで深く5裂して殆ど線形状となって長さ約1cm。 撮影:(2009.10.28 美郷町) 画像5 花は5個の裂片、5個のオシベと白毛、子房と花柱からなる。 撮影:(2009.11.7 美郷町)
画像6  花の中心にある徳利状の子房(上部に白く小さな花柱が見える)を取り囲んで、
    葯をつけたオシベが花冠裂片の境にあるが、5個のオシベの間に白毛が目立つ。
 撮影:(2009.10.28 美郷町)
画像7 花を側面から見ると、子房を囲んで白毛が密生している。 撮影:(2009.11.7 美郷町) 画像8 子房周辺の長白毛は裂片基部にある2個の蜜腺についている。 撮影:(2009.11.7 美郷町)
画像9 葉は対生し、茎の下部のものは短くてやや楕円状になって丸みがあるが、
    中部以上のものは長さ3.5cmほどの線形になり、堅くて縁は上側に反る。
 撮影:(2007.10.27 西米良村)
画像10 茎上部の葉はやや厚く、中央脈で折れたように反る。 撮影:(2007.10.27 西米良村) 画像11 紫色が濃い茎の葉の下面。中央脈の突出が目立つ。 撮影:(2009.10.28 美郷町)
画像12 茎は淡紫色を帯びることが多く、葉も下部では紫色を帯びる。 撮影:(2009.10.28 美郷町) 画像13 茎は明確な角のある方形となる。
撮影:(2007.10.27 西米良村)
画像14 果実は花冠よりやや長い刮ハで、上向きのまま熟す。 撮影:(2008.1.13 延岡市) 画像15 熟した刮ハは縦に深く2裂して多くの種子を出す。 撮影:(2008.1.13 延岡市)
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