FILE NO 658 宮崎と周辺の植物
シュウカイドウ Begonia evansiana Andr.
秋海棠 シュウカイドウ
撮影日 2011.1.7
撮影場所 西米良村

 
観賞用に江戸初期の寛永年間に中国から持ち込まれたといわれるベゴニアの仲間で、時に花壇から逃げ出して集落周辺の藪等に野生化した状態で見られる多年草。
 葉には殺菌効果のある蓚酸を含んでいて皮膚病やたむしに効くらしいが、江戸中期の和漢三才図絵や大和本草には花草の一つとして記載されている。
 撮影地は限られた時間に日の当たるやや湿り気のある傾斜地で、シダ等に混じってかなりの株が群生している。
 秋海棠は漢名をそのままにシュウカイドウと読んでいるが、花の色は独特の優しい淡紅色で、まさに美酒に酔った楊貴妃の嫋々とした抗しがたい魅力を感じさせるような雰囲気の花である。 
画像1 急な傾斜地に群生して枯れた茎から垂れ下がって風に揺れる果実。
画像2 周辺も含めて生育に適した環境の中で辺り一面に群生している株。
    撮影:(2006.7.29 西米良村
画像3 高いものは1m近くになる茎に互生した大きな葉の間から集散花序を伸ばす。
撮影:(2006.7.29 西米良村
画像4 (雌雄同株)雄花。花は大きなガク片2個と小さな花弁2個だが大きさ2.5cmほどの4枚の花弁のように見える。 撮影:(2006.7.29 西米良村 画像5 花序の枝から5~6cm伸びた柄は途中にガク片より濃色の苞があって淡紅色の花を引き立てる。
撮影:(2006.7.29 西米良村
画像6 全体柔らかい葉は左右が歪んだ長さ15cmほどになる心臓形で、先端は細く尖る。
撮影:(2007.7.22 西米良村
画像7 葉身の基部が葉柄に接する部分は赤い。縁には不規則な鋸歯があり脈は隆起する。
撮影:(2007.7.22 西米良村
画像8 葉の下面は緑白色で緑色の脈が良く見えて、脈が見えない上面の濃緑色と極端に違う。
撮影:(2007.7.22 西米良村
画像9 (葉下面拡大画像) 葉柄は赤くて柔らかく長いもので10cmほどにもなる。
撮影:(2007.7.22 西米良村
画像10 茎は無毛で緑色だが節の部分は赤くなる。葉は互生してその腋から花序が立つ。
撮影:(2007.7.22 西米良村
画像11 果実は5~6cmにもなる果柄の先に下がる。果柄の赤みは枯れるまで残って目立つ。
撮影:(2006.11.4 西米良村
画像12 果実は高さ3cmほどで、大きさの違う翼が3個ついたようで中央部が膨れて種子を抱く。 左側の果実が正面から見たもの。 撮影:(2007.1.28 西米良村 画像13 完熟した果実の中央部を破ると中に詰まっていたケシ粒のような種子が沢山出てくる。
撮影:(2006.11.4 西米良村
画像14 画像13のように多くの種子を持つが、別に葉腋についたムカゴでも増えるという。
撮影:(2011.1.7 西米良村
画像15 ムカゴの近接画像。ムカゴは殆ど球形で大きさ5~6ミリ、淡緑色から黒っぽくなって熟す。
撮影:(2011.1.7 西米良村
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