FILE NO 236 宮崎と周辺の植物
スダジイ Castanopsis sieboldii (Makino) Hatusima ex Yamazaki et Mashiba
すだ椎 ブナ
撮影日 2010.12.22
撮影場所 綾町

 
シイノキは古くから知られた樹で、昔高等学校で習った歌の、家なれば笥に盛る飯を草枕旅にしあれば椎の葉に盛る(万葉集有間皇子)はまだ覚えている。
 分類学の進んだ現在では厳密に言えばシイノキの中にはイタジイとツブラジイ等があるので区別して扱うべきかもしれないが、材を利用す専門家は別にして里山を歌ったり眺めたりするだけならシイノキでまとめて不都合はない。
 スダジイは福島県以西、ツブラジイは関東地方以西の屋久島まで、それより南には果実が大きいオキナワジイが分布するという。
 宮崎でも広く自生して里山の主要な構成種となっているが、葉や幹に変化が多い上に中間種もあって果実の無い時は区別しにくい。
画像1 珍しく手が届く位置の枝についた落ち残りの果実(シイノミ) ツブラジイは画像9以下を参照。
画像2 5月の照葉樹の森ではシイやカシ類の花が黄白色に盛り上がって賑わう。
    別名でイタジイ(板椎)やナガジイ(長椎)ともいうが、スダジイは意味不明。
撮影:(2005.5.4 綾町)
画像3 丸まった枝先が集まって全体で丸く盛り上がった樹冠になるのが特徴。
      雌雄同種で晩秋には樹下に多くのシイノミが落ちているが拾う人はいない。
撮影:(2010.12.22 綾町
画像4 。高さ25mほどの樹の全体樹形。幹の中程から上で伸びた大枝を単位に枝先が丸まった樹冠を作る。
撮影:(2010.12..22 綾町
画像5 照葉樹の中を走る道路の脇。急な傾斜地に立ち並んだ樹幹の大きく横に伸びた太枝と枝別れの樹形。
撮影:(2010.12..22 綾町
画像6 雄花序は新枝のすぐ下からまとまって出て12~13cmほど上向きに伸びるが先は垂れる。独特の強い臭いを出して昆虫を呼ぶ。 撮影:(2006.5.13 綾町 画像7 花は雌雄とも殆ど無柄。雄花の花被片6個は高さ2ミリほどと小さいが、10個前後のオシベの花糸は長さが5~6ミリある。 撮影:(2006.5.13 綾町
画像8 果実は砲弾型で長さ1.6cmほど。 初め殻斗に包まれているが熟すと3裂し中から出てくる。
撮影:(200.12.16 綾町
画像9 (参考)ツブラジイの果実 。長さ12~13cmほどでほぼ球形に近いがやや長めのものもある。
撮影:(2010.11.23 宮崎市
画像10 下から見た枝葉。大小の枝がよく込み合って葉がほぼ隙間なく空を塞いでいる。
撮影:(2010.12.22 綾町
画像11 枝先の葉は中程度の太さの枝を中心とした小枝毎に集まって長さが揃い丸くまとまっている。
撮影:(2010.12.22 綾町
画像12 スダジイの枝葉。先端部の枝もしっかりして葉の鋸歯もはっきりしている。 
撮影:(2010.10.22 綾町
画像13 スダジイの葉。長さ10cmほどで透視性が良くて9対ほどの側脈が良く見える。
撮影:(2009.11.12 綾町
画像14 (参考)ツブラジイの葉。長さ8cmほどで鋸歯が低く脈の隆起が低く側脈が見えにくい。 
撮影:(2010.12..24 宮崎市
画像15 スダジイの下面。灰褐色の光沢のある鱗毛が密生している。主脈は太くしっかりしている。 
撮影:(2009.101.12 綾町
画像16 (参考)ツブラジイ葉の下面。スダジイと同様灰褐色の鱗毛が密生して光沢がある。主脈はスダジイに比べて細い。 撮影:(2010.12..23 宮崎市
画像17 日当たり良好な位置のスダジイの枝先。枝が太く葉が厚くて堅い。鋸歯が明確で葉柄が見える。
撮影:(2009.11.12 綾町
画像18 (参考)日当たり不十分な幹下部のツブラジイの枝先。枝が細く葉が薄くて柔らかい。鋸歯は少ない。
撮影:(2010.12..24 宮崎市
画像19 スダジイの樹幹。古くなると縦に大きな深い割れ目ができる。割れ目は年数に比例して目立ってくる。
撮影:(2010.12..22 綾町
画像20 (参考)ツブラジイの樹幹。縦の割れ目は少なく、あっても浅くて小さいがいが変化幅はかなり大きい。 撮影:(2010.12..23 宮崎市
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