FILE NO 29 宮崎と周辺の植物
タマカラマツ Thalictrum watanabei Yatabe
たま唐松 キンポウゲ科
撮影日 2002.6.15
撮影場所 県内山地

 タマカラマツは、高いもので20cmほどの背丈の多年草で、県内では、限られた特定の場所に少数がまとまって自生している。
 細い茎に少数咲いた花は微風でも揺れ動くので、撮影には通常以上の根気と時間を費やすが、結局は不満足のままの写真が残るだけに終わってしまう花の1つである。
 環境庁レッドデータブックでは勿論、宮崎県でも絶滅危惧1A類に指定されている。  1A類の中で、CR−r 「もともと希であったものが、個体数も少なくかろうじて生き残っている」として取り扱われている。
 1000m以上の山地の藪陰など、木漏れ日のあたる低木の林床に、ヤマアジサイなどに混じって生きている。
 戦後の大規模開発の中を頑張って生き抜いてきたことでもあり、何とか今のままで生き残って欲しい植物である。
 
画像1 高さ16cmほどの全体の草形はでていると思うが、下部の様子は画像2が参考になる。 レッドデータプランツ(2003年、山と渓谷社)に九州では大分と宮崎だけとある。
画像2 早い花は果実になっているが、まだ花は咲き続けている。(撮影:2004.7.18) 画像3 花。オシベは長く多数あって目立つが、メシベは短くてオシベに隠れて見えない。
(撮影:2004.7.17)
画像4 正面斜め下から上向きに撮った。花糸は線状倒披針形で、花糸の先に幅が同じか少し太い葯が着いており、葯隔は突出しない。 (撮影:2004.7.17) 画像5 花は8ミリほどの大きさ、葉は葉柄を含めて長さ約2cm、幅1.5cmほどで無毛。
(撮影:2004.7.17)
画像6 蕾の時は5個の萼片に包まれているが、花が開くと萼片は落ちる。花弁はない。
(撮影:2002.6.15) 
画像7 咲き始めた花を下から写した。
萼片は倒卵形でまだ散らずに花を覆っている。 (撮影:2002.6.15)
画像8 開花中の花(下)とまだ未熟だが6個の果実がついた花。
痩果は扁平で両面に3本ずつの条がある。
(撮影:2004.7.18)
画像9 これでは痩果は3個、披針形で基部の長さ2ミリに足りない細い柄の先が、3ミリほどの果体となる。花柱は柱頭を含めてごく短くて曲がらない。右の大きな果体の先の付属物は花糸が付着したものと思われる。(撮影:2004.7.17)
画像10 茎葉は1〜2回3出複葉となる。
(撮影:2004.7.25)
画像11 葉表、葉はほぼ円形で周囲に数個の浅い鋸歯がある。(撮影:2004.7.17) 
画像12 葉の裏は淡緑色。
(撮影2004.7.17)
画像13:茎は細く円柱形で平滑、葉柄に托葉はない。(撮影2004.7.25)
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