FILE NO 627 宮崎と周辺の植物
タムシバ Magnolia salicifolia (Sieb.et Zucc.) Maxim.
たむしば モクレン科
撮影日 2010.3.30
撮影場所 県北部

 
青森県〜、四国・九州に自生する日本の特産種で、北海道〜九州、朝鮮(済州島)まで自生しているよく似たコブシよりも狭い範囲に分布するようで、特に日本海側に多く関東には少ないという。
 タムシバは、噛むシバが訛ったという牧野富太郎博士の説に基づいて、漢字表記はないようだ。
 別にカムシバ、サトウシバ、ニオイコブシの名もあって、葉を噛むと甘みと独得の香りがあり、北国の農村では開花を里芋の植え時期の目安に利用したともいう。
 九州では宮崎の霧島山が南限となっており、未だ冬景色の残る早春の山地で裸木の枝の隙間から白い花がポツポツと見える頃には、麓の集落のコブシは既に散ってしまっている。
画像1 枝だけの早春の山地樹林、木々の隙間から見える咲き初めた蕾。   噛んだ葉には強い芳香がある。
画像2  頭上で不規則に横枝が広がった、高さ4mほどの風当りの良い尾根筋のタムシバ。
    松以外に遮る緑のない枝先、10cmほどの大きな花が平開し太陽光を独り占め。
 撮影:(2008.4.27  県北部)
画像3 画像2の花を少し離れて写した樹冠の全体樹形だが、横枝が特に強く伸びている。
    通常の樹形は不十分な画像だが画像20を参照。  撮影:(2008.4.27  県北部)
画像4 花は長さ約3cmの外花被片3個、6cmほどの内花被片6個で真っ白。 撮影:(2008.4.27 県北部) 画像5 長さ1cm弱のオシベ多数、長い花床に多数つくメシバは螺旋生。 撮影:(2008.4.27 県北部)
画像6 白い花のすぐ下に葉がないのがタムシバの特徴で、下の緑色は芽鱗。 撮影:(2008.4.27 県北部) 画像7 (参考) コブシの花。花のすぐ下に緑色の葉が展開している。 撮影:(2009.4.11 県北部)
画像8 枝葉。葉は互生して葉柄が約1.5cm、葉身が13cmほどで、最大幅は約4.5cm。
 撮影:(2009.8.22 県北部)
画像9 葉は薄くて柔らかく鋸歯のない縁はやや波打って、先端は細く尖る。 撮影:(2009.8.22 県北部) 画像10 枝先では芽鱗(来年の葉芽を包んでいた)の托葉痕が一周する。 撮影:(2009.8.22  県北部)
画像11 先端が細く尖った葉の下面はコブシよりも白みが強いのが特徴。 撮影:(2009.8.22 県北部) 画像12 葉柄基部には、早くから托葉にしっかりと包まれた来年用の芽鱗がある。撮影:(2009.8.22 県北部)
画像13 葉の下面側脈は、葉縁に向かってやや蛇行しながら伸びている。 撮影:(2009.6.27  県北部) 画像14 緑色の小枝から伸びた新葉の基部、もう来年用の芽鱗ができている。 撮影:(2009.6.27 県北部)
画像15 樹幹は直立して灰色〜灰褐色で平滑、高木では縦に裂け目が出る。 撮影:(2008.4.27 県北部) 画像16 開花寸前の蕾。薄茶色の花芽の托葉は長毛が密生している。 撮影:(2009.3.26  県北部)
画像17 果実は袋果が集まって握りこぶし状になった集合果で長さ約7cm、熟してくると
     赤くなり、未だ緑色の緑の葉の間からよく目立つ。 撮影:(2009.8.13 県北部)
画像18 花が済んで新葉が開く頃には、もうモクレン科特有の果実が見える。 撮影:(2009.5.22 県北部) 画像19 果実は熟すと背面が割れて中から赤い種子が1個、糸に下がって出る 撮影:(2008.8.13 県北部)
画像20 全体の樹形。高さ約6〜7mになり横に広がった枝先に花がつく。 撮影:(2008.4.20 県北部) 画像21 山地照葉樹林内で枝越しに見える白い花。孤立した樹は少ない。 撮影:(2009.4.11 県北部)
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