FILE NO 550 宮崎と周辺の植物
トベラ Pittosporum tobira (Thunb. ex Murray) Aiton
石檀木、扉木 トベラ科
撮影日 2006.4.22
撮影場所 宮崎市

  トベラは扉の木で、932年の和名類聚抄に、「止比良乃岐」とあるのはこれであろうと言われている(薬草カラー大事典、伊澤一男著、1998年、主婦の友社)と書かれているように、古くから除夜にこの枝を扉に挟んで魔よけにする風習があったことから来ているようだ。
 枝、根を燃やすと悪臭が強いので魔よけになるとされたらしいが、花も香りもミカンの花に似ているのに、基部の幹の樹皮を剥ぐと確かに辟易する臭いを実感する。
画像1 日南海岸の波状岩を見下ろす高台で、潮風を受けて咲くトベラ。
普通は2〜3mほどの常緑の低木で雌雄異株、海岸地域に自生し良く枝が出て樹形は丸くなる。学名にも「tobira」がついているが、潮風、乾燥に強いのでアメリカやヨーロッパの公園にも植えられているという。
宮崎の沿海地でも、病除け、悪魔よけに使われていたらしい。(宮崎の植物民族覚書、南谷忠志著を参考)
画像2 冬の海近く、常緑の葉の間から赤い種子がのぞく枝。 撮影:(2005.12.24 宮崎市) 画像3 花は今年枝の枝先に展開した葉先に集散花序につく。 撮影:(006.4.22 宮崎市)
画像4 雄花。花弁の差し渡し約1.5cm。
5個のオシベの中にメシベが見えるが、不稔。 
撮影:(2006.4.22 宮崎市)
画像5 雌花。メシベの周囲に5個のオシベがあるが葯は小さい。花は段々黄色みを帯び、やがて枯れる。  撮影:(2006.4.22 宮崎市)
画像6 花は上向きでガクは5裂して先は鋭形、毛がある。 撮影:(2006.4.22 宮崎市) 画像7 新葉は特に緑が鮮やかで、光沢のある葉は艶やか。撮影:(2006.4.22 宮崎市)
画像8 葉は倒披針形で先は丸く、基部は細くなって柄に流れる。 撮影:(2006.4.22 宮崎市) 画像9 葉は全縁で縁取りがはっきりし、殆ど下向きに曲がってる。 撮影:(2006.4.22 宮崎市)
画像10 革質で光沢のある葉の間で直径1.5cmほど果実が裂開し、赤い種子が見える。
撮影:(2004.10.23 宮崎市)
画像11 紫褐色に枯れて分厚く3裂した果実と、完全に熟して開いた果実。
撮影:(2005.12.24 宮崎市)
画像12 種子は3裂した果実片内側に2列に並んでつく。 撮影:(2005.12.24 宮崎市) 画像13 種子は粘り気のある物質に包まれ、くっ付いて落ちない。撮影:(2005.12..24 宮崎市)
画像14 葉は互生するが枝先に集まって輪生するように見える。 撮影:(2006.4.22 宮崎市) 画像15 幹は中部から分枝し、樹皮は柔らかい感じで皮目が多い。 撮影:(2006.4.22 宮崎市)
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