FILE NO 479 宮崎と周辺の植物
ヤブニッケイ Cinnamomum japonicum Sieb.ex Nakai
藪肉桂 クスノキ科
撮影日 2012.1.5
撮影場所 宮崎市

 宮城県以西、四国、九州~琉球、中国中南部に自生するという常緑高木で、宮崎県でも海岸林や山野の照葉樹林に普通で、花も果実も目立たたないまま他の照葉樹と混生している。
 クスノキを含むクスノキ属に属し、シナモンで知られるニッケイとはごく近縁で、シナモンの香りこそしないがよく似ている。
 戦時中、眠気を防止するためのチョコレート用ココア豆の輸入が止まった時、潜水艦員用には低温で溶ける性質のある、このヤブニッケイの種子から絞った肉桂脂が使われたという。
画像1 樹高は10mほどにもなり枝葉が込み合って果実は見えにくい 別名にクスタブ、クロダモなど
画像2 輻輳した枝葉の葉腋等から伸びた花序は、新葉の黄緑色
    に紛れて見えにくい。花自体も小さくて殆ど目立たない。
撮影:(2008.6.14  宮崎市) 
画像3 樹形は上部で大きく円形に広がって整った形になる。
     葉は周囲の照葉樹に比べてやや黄みを帯びている。
撮影:(2012.1.3  宮崎市) 
画像4 花は今年枝の葉腋内外から伸びた花序軸に散形状につく。花柄は長さ約1cm。
撮影:(2008.6.14 宮崎市) 
画像5 花は花被片6、12個の長短あるメシベは輪状に4列する。 花の大きさは差し渡し約5ミリ。
撮影:(2008.6.14  宮崎市) 
画像6 若い枝は淡緑色、無毛で艶がある。葉は互生だが基部近くの葉は
   間隔が寄って対生のように見えることも多い。3行脈が目立つ。
撮影:(2012.1.4  宮崎市) 
画像7 葉身は長さ10cm前後、葉柄は1.5cmほどで常に曲がっている。千切るとクスノキのような香りがする。撮影:(2012.1.5 宮崎市)  画像8 葉上面。無毛、全縁で脈は僅かに浮き出る程度。革質でいかにも照葉樹の葉といった光沢がある。撮影:(2012.1.5 宮崎市) 
画像9 葉の下面はやや灰色がかった白色で、毛はない。主脈以外は見えにくい。
撮影:(2012.1.5 宮崎市) 
画像10 冬芽は卵形、重なった鱗片の頂部先端は尖っている。葉柄は黄緑色で無毛。
撮影:(2012.1.5 宮崎市) 
画像11 小枝は淡緑色で艶があるが、縦長の皮目が段々成長して全面が覆われ灰色に変わる。
撮影:(2012.1.4 宮崎市)
画像12 成木の樹皮は灰黒色でごく小さな凹凸があり手で触るとざらざらしている。
撮影:(2012.1.4 宮崎市) 
画像13 果実は晩秋に黒紫色に熟す。1.5cmほどの果柄に繋がる花序軸の長さは約4cm。
撮影:(2011.12.7 宮崎市) 
画像14 液果は長さ1cm強の楕円形、基部の果床は杯型で果実の基部を包んでいる。
撮影:(2012.1.7 宮崎市)
     
画像15 (比較参考)ニッケイの葉下面。微小な白毛が密生して粉白色。脈は隆起している。
撮影:(2005.11.18 宮崎市) 
   画像16 (比較参考)ニッケイの液果。長さ1cmほどの楕円形で果実基部の果床は高坏型。
撮影:(2005.11.18 宮崎市)
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