FILE NO 557 宮崎と周辺の植物
ヤマジノホトトギス Tricyrtis affinis Makino
山路の杜鵑草 ユリ科
撮影日 2006.9.10
撮影場所 綾町

 ヤマジノホトトギスは北海道から九州まで分布する日本の特産種だが、よく似たヤマホトトギスはさらに韓国、中国にもあるそうで、その違いは小さくは無いが、見た感じは本当に良く似て間違いやすい。
 種小名の「affinis」は、(酷似の)とか、(他種と関連のある)とかの意味らしい。
 このいかにも日本的で、京,大阪でも普通に見られるホトトギス類が、万葉集は勿論、昔の詩歌にも歌われてなく、これにまつわる話も無いようなのは、なんとも不思議なことだ。
画像1 マツが多い山道脇の木陰、疎らな藪の間から見える白っぽい花、和名のとおり山路のホトトギスとすぐに分る。
画像2 立ち上がった後、横向きに伸びた茎。
花は各葉腋と茎先端から花柄を伸ばして咲く。
撮影:(2006.9.10 綾町)
画像3 先端や葉腋から伸びる花枝には、基本的に花が1個だけつくのがこの種の特徴。
撮影:(2006.9.10 綾町)
画像4 水平に広がった花被片。ヤマジノホトトギスの花はこの水平が特徴で、
       画像3で説明の特徴とあわせた2点が、他種と見分けるポイントとされている。
撮影:(2006.9.10 綾町)
画像5 (参考画像):こちらは間違えやすいヤマホトトギスの花。
   花被片は下向きに反り返って中央部が皿のように凹む。
撮影:(2006.9.21 県北部)
画像6 上から見た花被片の開き具合。水平に開いた花被片が六方に広がり、海のヒトデ状に見える。  撮影:(2006.9.10 綾町) 画像7 (参考画像):よく似たヤマホトトギス。
この場合、花被片の広がりがないため、ヒトデ状に見えない。 撮影:(2006.9.21 県北部) 
画像8 咲き始めの花では花被片はまだ立っているが、この後開いて水平にまで広がる。
オシベはもう伸びて開いている。
撮影:(2006.9.10 綾町)
画像9 花はオシベ6、花糸は花柱にとともに立ち上がって平開し先端に葯がつく。花柱は上部で3裂して斑点が目立ち先端はまた2裂する。
撮影:(2006.9.10 綾町)
画像10 蕾で分るように、外花被片の下部は球状に膨れ、蜜が溜まるようになっている。
撮影:(2006.9.10 綾町)
画像11 (まだ未熟の)果実の形は他のホトトギス類と殆ど同じ。長さ3cmほどの厚みの無い3稜形。 撮影:(2006.9.10 綾町)
画像12 葉は、先の尖った卵状の長楕円形で、表面には疎らな毛がある。
撮影:(2006.9.10 綾町)
画像13 葉の表面、短毛が疎生して、手で触るとざらざらする。 撮影:(2006.9.18 小林市)
画像14 葉の下面、脈は単純で、基部近くから出た側脈も先端に向かって伸びる。
撮影:(2006.9.10 綾町)
画像15 葉の下面。目立つ短毛が全面に疎生して触るとざらざらする。
撮影:(2006.9.18 小林市)
画像16 上部の茎、下向きの白毛が目でもよく見える。 撮影:(2006.9.18  小林市 ) 画像17 下部の茎、斜め下を向いた毛が密生する。 撮影:(2006.9.18  小林市)
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